2022 Fiscal Year Research-status Report
孤発性IRF2BPL変異の患者由来iPS細胞を用いたNEDAMSS病態モデル確立
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20K07763
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
井上 健一 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90587974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 良一 獨協医科大学, 医学部, 助教 (20868054) [Withdrawn]
中舘 和彦 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80372895)
山内 忍 獨協医科大学, 医学部, 助教 (70433589)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NEDAMSS / 疾患由来iPS細胞 / IRF2BPL / IRF2BP1 / IRF2BP2 / 細胞内局在 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常型IRF2BPLおよび変異型IRF2BPL安定発現細胞株を用いて、タンパク質複合体の精製を試みた。 正常型IRF2BPLのアフィニティタグにおける精製効率は高くなかったが、共沈降したタンパク質複合体の中に既知の結合タンパク質が含まれていた。IRF2BPドメインを共有するファミリータンパク質、IRF2BP2の結合を確認した。同様に変異型IRF2BPLをアフィニティタグで精製したところ、大量の内因性IRF2BPLが共沈降していた。アフィニティ樹脂に結合しない内因性IRF2BPLも大量に存在したことから、変異型IRF2BPLは内因性IRF2BPLの遺伝子発現を誘導することが示唆された。 マイクロアレイの遺伝子発現解析では、NEDAMSS患者iPS細胞におけるIRF2BPL遺伝子発現が家族iPS細胞と比べて有意に上昇していた。 以上の結果から、変異型IRF2BPLはそれ自体が内因性IRF2BPLタンパク質を発現誘導し、互いに結合することが明らかとなった。また正常型IRF2BPLタンパク質はファミリーであるIRF2BP2と結合していることから、このタンパク質はIRF2BPドメインを介して、ファミリータンパク質同士で協働することが示唆された。 先行研究では、変異型IRF2BPLの細胞内局在は専ら強制発現系を用いて調べられている(Sinha Ray et al., Cell Rep., 2022)。ところが強制発現によって内因性IRF2BPLが大量に誘導されるのであれば、それらの観察が病態を正確に反映しているのか疑問が生じる。 研究期間を延長した最終年度では、患者iPS細胞で内因性の変異型IRF2BPLが細胞内のどこに局在しているのか、ファミリータンパク質であるIRF2BP1とIRF2BP2も含めた内因性のIRF2BPファミリーの局在および機能的影響について調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
NEDAMSS患者iPS細胞を用いた、内因性IRF2BPLタンパク質の絶対定量の条件検討に時間が掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
NEDAMSS患者iPS細胞を用いて、内因性IRF2BPLタンパク質を絶対定量する。とりわけ、細胞質と細胞核の局在に注目する。 また患者iPS細胞から神経幹細胞を分化誘導して、マイクロアレイ解析で遺伝子発現プロファイルの変化を調べる。これにより、変異IRF2BPLがIRF2BPファミリー複合体に及ぼす影響を推定する。
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Causes of Carryover |
NEDAMSS患者iPS細胞を用いた、内因性IRF2BPLタンパク質の絶対定量の条件検討に時間が掛かったため、研究期間を延長した。 最終年度、未完了の実験を遂行する。
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