2023 Fiscal Year Annual Research Report
孤発性IRF2BPL変異の患者由来iPS細胞を用いたNEDAMSS病態モデル確立
Project/Area Number |
20K07763
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
井上 健一 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90587974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 良一 獨協医科大学, 医学部, 助教 (20868054) [Withdrawn]
中舘 和彦 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80372895)
山内 忍 獨協医科大学, 医学部, 助教 (70433589)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NEDAMSS / 疾患由来iPS細胞 / IRF2BPL / IRF2BP1 / IRF2BP2 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の実験では、NEDAMSS患者由来皮質ニューロンの顕著な表現型は観察されなかった。ところがその後の報告で、NEDAMSSの表現型はアストロサイトを介している可能性が示唆された(Sinha Ray et al., Cell Rep., 2022)。我々の実験系はiPS細胞からNGN2強制発現系を用いており、比較的純粋な皮質ニューロンから構成される。このため初年度の実験系では、アストロサイトの病態の影響がマスクされている可能性を疑った。 iPS細胞から分化誘導した神経幹細胞でRNA-Seq解析を実施したところ、患者vs健常の比較で顕著な差は見られなかった。ところが同じ実験を分化誘導アストロサイトで実施すると、患者vs健常の比較で複数の炎症性サイトカインの発現低下が観察された。 そこで神経幹細胞から自発的に分化した皮質ニューロン・アストロサイトの共培養を、電子顕微鏡・電気生理解析に用いた。 電子顕微鏡解析で患者・健常細胞ともにミエリンを貪食する像が得られたため、貪食能の高いアストロサイトの存在が示唆された。また患者由来の細胞で、multivesicular body像が観察された。 パッチクランプを用いた電気生理解析では、神経幹細胞から皮質ニューロンの分化・成熟に伴い、ナトリウム電流の波形に変化が見られた。具体的にはピークとなるスパイクが、一つから複数見られる方向に変化した。成熟度とスパイクパターンの相関を調べると、患者の方が健常ニューロンよりも成熟が早い傾向があった。 最後に、アフィニティタグで精製したIRF2BPL結合タンパク質の同定を進めた。前年度同定したIRF2BPL(ホモ複合体)、IRF2BP1、IRF2BP2に加えて、糖代謝酵素であるPKMを同定した。PKMは、患者由来の変異タンパクにも結合していた。これらのタンパク複合体が病態に及ぼす意義が、今後の課題となる。
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