2021 Fiscal Year Research-status Report
腸管神経新生におけるLRRK2の役割と変異によるパーキンソン病病態形成機序の解明
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20K07764
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
前川 達則 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (30647673)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 腸管神経 / LRRK2 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)は中脳黒質ドーパミン神経細胞の脱落を特徴とする神経変性疾患であり、その発症メカニズムは未だ解明されていない。本研究ではPD原因分子であるleucine-rich repeat kinase 2 (LRRK2) の腸管神経系における役割とその異常による腸管神経病態の形成機序を明らかにすることを目的としている。2021年度の研究実績は以下の通りである。 ①5-HT4受容体アゴニストであるRS67506をマウスに4週間投与すると、神経細胞とグリア細胞の両方の特徴を有したbi-phenotypic cellが増加することを明らかにした。また、主に腸管グリア細胞に発現しているLRRK2-GFPはRS67506投与後にはbi-phenotypic cellにもその存在が確認された。このことからグリア細胞からbi-phenotypic cellへと細胞がtransformする過程にLRRK2が関与していることが明らかになった。 ②LRRK2欠損マウスの腸管グリア細胞では、RS67506を投与した際にみられる細胞内シグナル分子CREBのリン酸化が減少していることを明らかにした。 ③LRRK2 KOマウスではbi-phenotypic cellの増加が見られるにも関わらず、神経細胞の数は増加していない。そこで腸管神経細胞のアポトーシスをpH2A.X抗体を用いた免疫染色で解析した。その結果、KOマウスではpH2A.X陽性のアポトーシス陽性細胞が確認された。以上のことから、KOマウスではグリア細胞からのbi-phenotypic cellを介した神経新生とアポトーシスによる神経細胞死が同時に進行していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は当初の予定通り順調に研究活動を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は研究成果発表として、英語論文作成にあたる。また、英語科学雑誌への掲載に向けた追加実験を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度に納品予定であった試薬納品に遅れが生じたため。次年度の予算で計上する予定である。
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Research Products
(1 results)