2021 Fiscal Year Research-status Report
グルタミン酸作動性・GABA作動性入力による視床下核ニューロンの活動調節様式
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20K07772
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
畑中 伸彦 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 助教 (80296053)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マカクサル / 大脳皮質 / 大脳基底核 / 運動情報の流れ / 視床下核 / 淡蒼球内節 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はサルの一次運動野と補足運動野の上肢再現部を電気生理学的にマッピングし、テフロンコーティングされたステンレス製慢性刺激電極を大脳皮質内に留置する実験を行いました。その後、以下のような遅延付き上肢運動課題を遂行中のサル視床下核にガラス被覆エルジロイ電極を刺入し、一次運動野や補足運動野といった大脳皮質の上肢関連の運動野から情報を受け取る視床下核ニューロンのいる領域を、皮質刺激と視床下核ニューロンの応答をヒストグラム解析することで特定し、また運動課題に関連した基本的な視床下核ニューロンの神経活動を記録することを開始しました。 運動課題は正面にLEDライトとタッチセンサーを3つ設置したパネルを置き、サルが手をホームキー上に1500msec置くと課題が始まります。手がかり刺激(赤色;S1)が3つのLEDのうち1つが点灯することによって到達運動するターゲットが提示され、ランダムに置かれた 延期間ののち、3つのGo刺激(緑色;S2)が提示され、サルは覚えていたターゲットに到達運動を行い、正しいLEDに振れると報酬としてジュースがもらえます。また、一次運動野と高次運動野の活動の差を比較するため、Stop課題も与えます。Stop課題でも手がかり刺激(S1)は3つのうちの1つのLEDが赤色で提示され、おなじ延期間が置かれます。その後、3つのLED全てにStop刺激(赤色)が提示され、サルは準備していた運動をやめて、ホームキー上に手をキープし続けなければなりません。成功すればサルは報酬を得られます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画通りに課題を習得したサルからデータ採集を開始した。運動情報の流れの中で最上流となる大脳皮質の上肢運動関連領野に刺激電極を埋入し、そこから情報を受ける視床下核ニューロンが存在する領域を特定することができた。また、ガラス被覆エルジロイ電極による運動課題遂行中のサル視床下核ニューロンの単一ユニット記録に成功した。このまま1頭目の記録を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降、予定通り単一ユニット記録中の局所への選択的神経遮断薬の微量注入による、神経活動と入力源の関係に迫っていく予定である。
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Causes of Carryover |
手術用のドリルのパーツを発注したが、半導体不足とのことで納品が間に合わなかった物品があり、旧い物品や他ラボから借りて実験を行った。2022年度に納入される。
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