2023 Fiscal Year Research-status Report
グルタミン酸作動性・GABA作動性入力による視床下核ニューロンの活動調節様式
Project/Area Number |
20K07772
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
畑中 伸彦 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 助教 (80296053)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | マカクサル / 大脳皮質 / 大脳基底核 / 運動情報の流れ / 視床下核 / 淡蒼球内節 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は3頭のニホンザルを用いた。遅延付き上肢運動課題を遂行中のサル視床下核に2つの微小ガラスチューブを備えたエルジロイ電極を刺入し、電気生理学的に同定された一次運動野と補足運動野の上肢再現部に慢性的に埋入されたステンレス製慢性刺激電極への電気刺激に応答するニューロンの運動課題遂行中の活動様式を記録し、その後グルタミン酸受容体やGABA受容体の遮断薬(イオン型グルタミン酸受容体遮断薬;NBQXおよびCPP+ イオン型GABA受容体遮断薬;gabazine)を電極に付随した2つのガラスチューブよりマイクロポンプをもちいて局所注入することで、グルタミン酸作動性の活動成分とGABA作動性成分に分離して観察することに成功した。2024年度は記録部位の局所遮断による上肢到達運動遂行中の視床下核ニューロン活動のグルタミン酸作動性コンポーネントとGABA作動性コンポーネントの活動における方向選択性や活動開始時期の違いなどを詳細に検討する。また、2023年度にこれまでの研究結果の一部である、これまでStop課題によく応答する部位として知られている、視床下核腹側部だけでなく、運動野から直接投射を受ける背側部でもStop課題に応じた活動が認められたことを論文として発表した。 なお、与えたStop課題は手がかり刺激(S1)は3つのうちの1つのLEDが赤色で提示され、通常と同じ延期間が置かれ、3つのLED全てにStop刺激(赤色)が提示され、サルは準備していた運動をやめて、ホームキー上に手をキープし続けると、成功となり報酬を得られるもので、先行例のStop課題とは多少デザインが異なる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナによる多少の遅れが生じているが、概ね順調に研究は進んでおり、課題を習得したサルからデータを収集している。3頭のデータが蓄積され、当初の予想通りに、大脳皮質ー大脳基底核ー視床ー大脳皮質ループの中で、これまで知られていた高次脳機能のループ内に存在するような、Stop課題に関連した活動を示す、運動野から入力を受ける視床下核ニューロンが見つかった。またグルタミン酸受容体、GABA受容体の選択的な遮断薬を用いた活動の違いを観察するのに成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナによる多少の遅れが生じているが、概ね順調に研究は進んでおり、3頭のマカクサルに遅延機関付き上肢到達運動を遂行させ、その際の視床下核ニューロンの活動を選択的な受容体遮断薬を用いることで、運動に関わる神経活動をグルタミン酸作動性コンポーネントとGABA作動性コンポーネントに分離し、活動の特徴を解析する。
|