2020 Fiscal Year Research-status Report
白血病の遺伝子パネル検査とシグナル蛋白解析を統合した分子標的薬感受性検査法の開発
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20K07780
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東田 修二 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80251510)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分子標的治療薬 / 白血病 / 薬剤感受性検査 / 遺伝子パネル検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は急性白血病に対する新たな分子標的の候補として、Sirtuin1蛋白に注目した。白血病細胞の培養系にSIRT1阻害剤やSIRT1活性化剤を添加し、あるいは、SIRT1をノックダウン、もしくは強制発現させて、細胞増殖やシグナル蛋白への効果を観察した。Tリンパ芽球性白血病細胞株ではSIRT1の活性化剤や強制発現により細胞増殖が抑制した。これらによるNOTCH1、NF-κB、mTORシグナルの抑制がその機序であると考えられた。急性骨髄性白血病細胞には効果はなかった。 次に、糖尿病薬であるメトホルミンを白血病細胞の培養系に添加すると細胞増殖が抑制することを見出した。メトホルミンがmTOR蛋白を阻害することは知られていたが、これ以外にAXL受容体の発現とそのリン酸化を抑制し、その下流のシグナル伝達蛋白であるSTAT3のリン酸化を抑制することにより、白血病細胞の増殖を抑制すると考えた。また、メトホルミンは、AXLとファミリーを形成するTYRO3やMERTK蛋白のリン酸化も抑制し、これも増殖抑制に関与すると考えた。 これらの実験は白血病細胞株を用いたが、これらの細胞株の全エクソン解析を行った。種々の白血病関連遺伝子の異常と、Sirtuin1活性化剤やメトホルミンの効果との関連性を検討し、遺伝子解析結果によって効果が予測できないかを解析中である。なお、白血病患者検体を用いた白血病関連遺伝子パネルの変異解析も進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな分子を標的としたシグナル阻害剤の蛋白解析に基づく感受性検査法の開発は進んでおり、一方、次世代シークエンサーを用いた遺伝子パネル検査の結果も得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、上に記載した、分子標的薬の細胞や蛋白レベルでの効果と、変異遺伝子との関連性について、統合的に検討を進める予定である。また、さらに新たな標的分子の阻害剤の効果も検討を開始している。
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