2021 Fiscal Year Research-status Report
白血病の遺伝子パネル検査とシグナル蛋白解析を統合した分子標的薬感受性検査法の開発
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20K07780
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東田 修二 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80251510)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分子標的治療薬 / 急性白血病 / シグナル蛋白 / 次世代シークエンサ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は急性白血病に対する新たな分子標的薬の候補として、幹細胞制御に関わるHOXA9蛋白に注目した。次世代シークエンサ解析の結果より、HOXA9遺伝子発現を増強させる遺伝子変異を持つ3種の急性骨髄性白血病(AML)細胞株を選んだ。また、比較のために、この遺伝子変異のない細胞株8種と研究利用の承諾を得た健常人のリンパ球を対照として用いた。細胞の培養系にHOXA9阻害剤DB818を添加し、あるいは、HOXA9遺伝子をsiRNAを用いてノックダウンさせて、細胞増殖やシグナル蛋白への効果を観察した。HOXA9タンパクを高発現する3種のAML細胞株では、DB818処理やHOXA9ノックダウンにより細胞増殖が抑制し、アポトーシスが誘導された。また、HOXA9の下流のあるシグナル伝達蛋白の抑制が、イムノブロット法によって確かめられた。よって、これらの効果はHOXA9シグナルの抑制がその機序であると考えた。 比較対照である他の細胞株へのDB818処理やHOXA9ノックダウンの効果は弱く、健常人のリンパ球の有意な抑制はみられなかった。これらより、HOXA9阻害剤は白血病に対する新たな分子標的薬の候補となりうることを明らかにし、事前に遺伝子解析をして、HOXA9の発現を亢進させる変異を見出すことはコンパニオン診断検査となりうることがわかった。また、ここで用いた培養法は、この薬剤の感受性検査として利用できることがわかった。これらの成果は論文として報告した。 なお、上記の実験は白血病細胞株を用いたが、臨床応用につなげるためには白血病患者検体でも同様の結果が得られることを確かめる必要があり、現在、検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな分子標的治療薬の候補となりうる低分子化合物を同定し、その効果を予測する遺伝子検査や感受性検査の手法も確立して、その成果を論文として報告できている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで示した研究成果を臨床応用していくには、まず、患者由来の白血病細胞でも同様の結果が得られることを示す必要があり、それに取り組む予定である。
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Research Products
(2 results)