2022 Fiscal Year Annual Research Report
A pathophysiological significance of receptor-binding factor in aging-associated cerebral cardiovascular disease
Project/Area Number |
20K07786
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
涌井 広道 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10587330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 暁朗 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (20405020)
田村 功一 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40285143)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レニン-アンジオテンシン系 / アンチエイジング / 老化 / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
質量分析法を用いてATRAP結合タンパク質の同定を行い、その結果、細胞内鉄取り込みを担うトランスフェリン受容体 (TfR1)をATRAP結合タンパク質として同定した。ヒトやマウスの培養細胞、マウス腎組織においてATRAPとTfR1は相互作用を示した。ATRAPによるTfR1の機能制御を調べたところ、ATRAP発現誘導が細胞膜上でのTfR1発現を減少させ、細胞内小胞膜上のTfR1を増加させる、細胞内在化(インターナリゼーション)を促進することを明らかにした。さらに、ATRAP発現誘導によるTfR1の膜局在低下が、細胞内鉄濃度の低下と、それにともなう酸化ストレスシグナルの低下を誘導する事を明らかにした。 鉄は酸素運搬、酵素活性、エネルギー産生に関与しており生体にとって必須元素のひとつである一方、活性酸素種産生を介して老化、慢性腎臓病の発症・進展に関与することが知られている。ATRAPによるTfR1インターナリゼーション促進を介した細胞内鉄濃度と酸化ストレス抑制は、老化に伴う慢性腎臓病、腎線維化の進展に関わっている可能性がある。今後、個体レベルでの鉄制御機構の解明を進めることで、老化・腎線維メカニズムの解明が期待される。また、ATRAP-TfR1経路の発見は、慢性腎臓病をはじめ、様々な鉄関連疾患への新たな診断法や治療戦略の開発につながる可能性がある。
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