2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者における活動性低下を予測する液性因子の探索と機能解析
Project/Area Number |
20K07789
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
浦野 友彦 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (20334386)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フレイル / サルコペニア / 通所リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らがデータベースを構築したコホート集団を用い、高齢者の活動性低下、フレイル、サルコペニアに関連する因子を探索した。その結果、要支援ならびに要介護高齢者において舌圧が低下することを見出した(Sawaya, Urano et al. Geriatrics & Gerontology International 20: 488-493, 2020)。また通所リハビリテーション利用者におけるサルコペニアの有病率と危険因子を探索し、報告した(柴、浦野ら、日本老年医学会雑誌 57: 149-154, 2020)。続いて、2019年に診断基準が改定されたサルコペニアのアジアオセアニア診断基準を用いて日本の要介護高齢者におけるサルコペニアの頻度を2014年の診断基準と比較検討を行なった(Sawaya, Urano et al. Journal of Physical Therapy Science 32: 742-747, 2020)。さらに日本の要介護高齢者において筋肉量と呼吸機能ならびに呼吸筋力の関連を見出し、サルコペニアが呼吸機能の低下とも関連することを見出した(Sawaya, Urano et al. Journal of Physical Therapy Science 32: 754-759, 2020)。また、要支援ならびに要介護高齢者における嚥下機能・栄養状態・身体機能の関連性も報告した(平田、浦野ら、日本老年医学会雑誌 58: 134-142, 2021)。最後に、COVID-19の感染拡大により通所リハビリテーションを中止した利用者がフレイルの進行と関連することを見出した(Hirose, Urano et al. PeerJ 9: e11160.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らが構築したコホート集団を用い、高齢者の活動性低下、フレイル、サルコペニアに関連する因子を探索し、6報の論文発表を行なっており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、申請者らが構築したコホート集団において骨細胞から分泌されるスクレロスチン、骨芽細胞から分泌されるオステオカルシンなどの液性因子、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンを代表とするアディポカイン、筋芽細胞から分泌されるマイオスタチンを代表とするマイオカイン、さらには終末糖化産物(AGEs)であるペントシジンやカルボキシメチルリジンなどの血中濃度を測定し、骨粗鬆症、変形性関節症、サルコペニア、肥満、脳血管障害、糖尿病といった高齢者の活動性低下に関与する疾患を予測する血中マーカーを探索する。 また新規にコホートスタディーも行う。申請者が施設長を務める介護老人保健施設マロニエ苑入所者、にしなすの総合在宅ケアセンターデイケア利用者を対象とする。 上記研究対象者の栄養状態、身体機能、動作能力、骨量、筋肉量、脂肪量ならびフレイルの指標(J-CHSインデックス)を評価し、3ヶ月毎に再評価を行う。骨量は超音波法にて測定し、骨量の評価は年一回行う。筋肉量、脂肪量はバイオインピーダンス法にて6ヶ月に一回測定する。これらコホートデータを元に骨粗鬆症、サルコペニアならびにフレイルの各指標の変化との関連解析を行い、活動性低下を予測する因子を探索、同定する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症のため旅費が0円となったため、当該助成金が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせ2021年度の使用目的に加えて、コホート研究成果の論文化のための論文校正に使用する。
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