2020 Fiscal Year Research-status Report
CalDAG-GEF1の止血分子メカニズム解明と新規機能の探索
Project/Area Number |
20K07808
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
古城 剛 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 臨床検査技師 (30837282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 宗一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (20325814)
大山 陽子 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (20583470)
竹之内 和則 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (30646758)
小浜 祐行 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 臨床検査技師 (50837276)
橋口 照人 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70250917)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血小板機能異常症 / 血小板シグナリング / カルシウム / RasGRP2 / Rap1 |
Outline of Annual Research Achievements |
止血機序における血小板系、凝固・凝固制御・線溶系、血管系の調和と止血後の組織修復の機序までが円滑に作動してこそ止血機構は生体システムの一つとして成立する。従って、本研究の目的は、CalDAG-GEFI の血小板およびその他の血球系、血管内皮細胞における役割を明確にし、症例のアミノ酸変異がそれらの機能の連関に及ぼす影響を検討することにある。 止血異常を伴う血小板機能異常症の症例の一家系において、全エクソーム解析を行い Calcium‐and diacylglycerol‐regulated guanine exchange factor‐I (CalDAG-GEFI) をコードする RAS guanyl-releasing protein-2 (RASGRP2) 遺伝子の変異を同定した。CalDAG-GEFI は Rap1 の活性化を介して αIIbβ3 integrin の inside‐out signaling を担う分子であり、血小板活性化の重要分子である。RASGRP2 遺伝子の変異は世界でいくつか報告されているが、この CalDAG-GEFI の血小板での制御機構、血小板以外の細胞の役割は明確でない。本研究では、CalDAG-GEFI の血小板における機能解析を行い、その制御機構を明らかにし、我々の解析した遺伝子変異家系の変異による機能変化を検討する。また、他の血球系における CalDAG-GEFI の役割の解明も目指す。将来、輸血以外での治療や血小板機能を促進する創薬への第一歩となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①コラーゲン、ADP、トロンビン、エピネフリン刺激による血小板の活性化を検討した。健常人対照と比較し、RasGRP2 のアミノ酸変異を持つ症例は優位にコラーゲン、ADP、トロンビンでの血小板活性化の低下を認めた。また、エピネフリン刺激では健常人対照者と同等の結果であった。 ②血小板細胞内カルシウムは CalDAG-GEF1 と結合して不活性型の Rap1 を活性化型のRap1 に変化させることで αⅡbβ3 を活性化がもたらされ、血小板活性や凝集をおこすため、健常人対照者と、RasGRP2 のアミノ酸変異を持つ症例との RasGRP2 の発現をウエスタンブロットで比較したが、タンパクの発現に優位な差は認められなかった。 ③洗浄血小板を用いて、αⅡbβ3 integrin の inside-out signaling の活性に重要なTotal-Rap1、Rap1をウエスタンブロットで確認し、Rap1-GTP pull-down により活性化状態を検討した。ADP刺激では健常人対照者と比較しTotal-Rap1の発現は同等の結果であったが、Rap1 は優位な発現の差はなかった。TRAP6 での刺激においては健常人対照者と比較し Total-Rap1 の発現は同等の結果であったが、Rap1は優位に発現の差を認めた。 ③ RasGRP2 の860番目の塩基の一塩基置換(C→T)した変異をもつ発現ベクターを作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 各細胞株におけるCalDAG-GEFI 関連分子の検討 それぞれの細胞に血小板で確認できたCalDAG-GEFI 関連分子が発現しているかを検討する。過去の報告にあるCalDAG-GEFI 関連分子を探索し、これらの発現も併せて確認する。 2. アゴニストによる刺激によるCalDAG-GEFI を介したシグナルの検討 1で確認できた分子について、そのシグナル伝達に関してウエスタンブロット法で検討する。また、CalDAG-GEFI をノックダウンして、このシグナルの変化を調べる。 3. 細胞の機能変化の解析5B-2 と同様に、CalDAG-GEFI のノックダウンによる細胞機能 変化を検討する。
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