2021 Fiscal Year Research-status Report
過敏性腸症候群におけるストレス脆弱性の神経生理基盤に影響する早期環境要因の解明
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20K07820
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金澤 素 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70323003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福土 審 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80199249)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 過敏性腸症候群 / 脳腸相関 / ストレス / 早期環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレス関連疾患の代表である過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)の病態は完全には解明されておらず、心理社会的要因、消化管運動機能異常、内臓知覚異常を中心とした脳腸相関の病態が想定されている。近年、幼少期における親の養育行動が子どものストレス脆弱性に影響し、IBSの発症・病態形成に寄与しているのではないかと推測されるようになった。しかし、IBS患者に認められる脳腸軸のストレス反応性の異常に対して幼少期の家庭環境がどのような役割を果たしているのかについては十分明らかにされていない。 本年度は、成人IBS患者では幼少期に親から不適切な養育を受けた経験が多く症状重症度ならびに脳形態に関連しているという仮説の検証を開始した。 右利きでかつ18歳以上のIBS患者と身体・精神疾患を認めない健常者を対象として募集した。被験者に対して質問票としてIBS重症度(IBS Symptom Severity Scale: IBS-SSS)、IBS-QOL、ストレス感受性(Perceived Stress Scale: PSS)、特性・状態不安症状(State-Trait Anxiety Inventory: STAI)、抑うつ症状(Self-rating Depression Scale: SDS)ならびに親から受けた養育態度(Parental Bonding Instrument: PBI)をそれぞれ評価した。PBIは親からの養護(care)尺度と過保護(overprotection)尺度から構成されている。さらに脳領域の灰白質容量測定のために脳MRI検査を実施した。この脳形態画像検査としては、1.5T Sigma system (General Electric Medical Systems、Milwaukee、WI) のMRスキャナを使用して、three-dimensional vascular time-of-flight spoiled gradient echo sequenceによりT1強調画像を撮像した。 令和3年度では、IBS患者25例と健常者25例が本研究に参加し、全ての被験者において質問票回答ならびに脳MRI検査を実施できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画通り成人のIBS患者と健常者のデータを集積することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、引き続き成人のIBS患者と健常者の募集を実施する計画である。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続いて本年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響のために多くの国内外での学会・研究会が中止またはリモート開催に変更されたため、旅費の支出が当初の見込みより減少した。 次年度にはその額を開催予定の学会・研究会への参加旅費だけでなく、データ収集ならびに入力のため物品費と消耗品に一部充当する計画である。
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