2023 Fiscal Year Research-status Report
過敏性腸症候群におけるストレス脆弱性の神経生理基盤に影響する早期環境要因の解明
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20K07820
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金澤 素 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70323003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福土 審 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80199249)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 過敏性腸症候群 / 脳腸相関 / ストレス / 早期環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)の病態は完全には解明されておらず、心理社会的要因、消化管運動機能異常、内臓知覚異常を中心とした脳腸相関の病態が想定されている。近年、幼少期における親の養育行動が子どものストレス脆弱性に影響し、IBSの発症・病態形成に寄与しているのではないかと推測されている。しかし、IBSに認められる脳腸軸のストレス反応性の異常に対して幼少期の家庭環境がどのような役割を果たしているのかについては十分明らかにされていない。 令和5年度はIBSを含む反復性腹痛(reccurent abdominal pain: RAP)患児の腹痛症状に対する母親の対応には特徴的な行動が認められるという仮説を検証した。 RAP患児とその母親44組を対象に、母親が評価した子どもの症状(Child Symptom Checklist: CSCL)と日常行動様式(Child Behavior Checklist: CBCL)、子どもに対する養育態度(Parental Bonding Inventory: PBI)、症状対処行動(Adult Response to Child Symptoms: ARCS)の各スコアの関連性についてSpearmanの順位相関係数を用いて分析した。 子どもの症状に対する反応を小さくしようとする行動は子どもの腹痛重症度と有意な正の相関を認めた(rho=0.31, p<0.05)。しかし、母親の養護度(rho=-0.26, p=0.1)あるいは過保護度(rho=-0.06, p>0.1)は子どもの腹痛重症度と有意な相関を認めなかった。 以上の結果から、母親の日常の養育態度よりも子どもが訴える症状に対する対応がRAP症状重症度に関連している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の計画通りに反復性腹痛(reccurent abdominal pain: RAP)患児とその母親のデータを詳細に解析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、成人のIBS患者の詳細なデータ解析を実施するとともに、子どもの腹痛患児の結果と併せて仮説の検証を総括する計画である。
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Causes of Carryover |
今年度は物品費、旅費ともに当初の計画より支出額が少なかった。 最終年度の次年度では、総括のための物品費、消耗品費ならびに研究成果報告のための学会旅費が今年度よりも多くなることが見込まれ、その残額を充当して使用する計画である。
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Research Products
(18 results)