2020 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージを主軸とする自然免疫応答から探求する傷害組織の修復機構の解明
Project/Area Number |
20K07824
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川部 勤 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (20378219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 充代子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (10509665)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マクロファージ / エフェロサイトーシス / 2型免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症により傷害された組織では、傷害と同時に修復機転が開始される。修復には多くの組織の傷害に共通な機構と、肺や肝臓など、その組織に特異的な修復機構が必要となる。この共通な修復過程では、ほとんどの組織に分布し生体防御に備えているマクロファージが中心に働く。本研究では傷害組織の修復機転にマクロファージをはじめとし、自然リンパ球など自然免疫に関与する細胞がどのようにオーケストレートされているかを解明することを第一義的な目的とし、傷害組織がIL-4やIL-5が中心的な役割を担う2型免疫応答の環境にある場合の修復機構の解析を行うことをさらなる目的とする。2020年度は傷害組織の修復機構におけるマクロファージの役割について検討した。具体的には経気管的にパパインもしくはLPSを投与することで気道傷害を惹起し、1型免疫応答が優位のC57BL/6マウスと2型免疫応答の優位のBalb/cマウスやアトピー性皮膚炎モデルであるNC/Ngaマウスを用いて、好中球のマクロファージによるエフェロサイトーシスを生体レベルで検討した。また、Balb/cマウスおよびNC/Ngaマウスの骨髄より骨髄由来マクロファージを樹立し、傷害細胞のエフェロサイトーシス能についても検討した。その結果、2型免疫応答が有意であるNC/Ngaマウスではパパインモデル、LPSモデルともに好中球のエフェロサイトーシス能が低下しているような結果が得られた。また、同様にNC/Ngaマウス由来の骨髄マクロファージでもエフェロサイトーシス能が低下していた。以上の結果より、2型免疫応答を含む炎症の継続にはマクロファージの修復機構が関与する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では肺傷害モデルを使用した生体レベルでのマクロファージの修復機構の解析を行い、さらに詳細な修復機転の分子機構の検討を行う予定だった。しかし、新型コロナ感染症の影響により研究の中断を余儀なくされ、肺傷害モデルを用いたエフェロサイトーシスの検討までしか行うことができなかった。パパイン、LPS投与による肺傷害モデルにおいてどちらも2型免疫応答有意のNC/Ngaマウスでエフェロサイトーシスが低下するように思われたが、まだ確実ではなく、さらなる検討が必要である。骨髄由来マクロファージを用いたex vivoでのエフェロサイトーシス能の検討についてはNC/Ngaマウス由来のマクロファージにおいて傷害細胞のエフェロサイトーシスが低下していることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きパパインあるいはLPS投与による肺傷害モデルを用いたマクロファージの修復機構について検討する。また、エフェロサイトーシスを制御する分子について、マクロファージや好中球などをソーティングし、修復機転となる分子機構について分子レベルでの検討を進める。
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