2021 Fiscal Year Research-status Report
大規模医療情報データベースによる総合医療・感染症関連包括的疫学解析基盤の確立
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20K07831
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
畠山 修司 自治医科大学, 医学部, 教授 (40463864)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 抗微生物薬 / 医療ビッグデータ / 感染症疫学 / HIV感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
①県単位レセプトデータベース(2012~2017年)よりすべてのインフルエンザ患者(12.2万人)を抽出し、インフルエンザ診断後の入院割合, リスク因子別入院割合, 抗インフルエンザ薬処方割合の解析を完了した。インフルエンザ後に入院した患者の割合は, 69歳以下で3%以下, 70-79歳で7%, 80-89歳で16%, 90歳以上で24%と高齢者で著明に増加した。基礎疾患(重症化リスク因子)を持つ患者は持たない患者の3-4倍入院割合が高いことが分かった。抗インフルエンザ薬は91%の患者に使用されており、諸外国と比べ非常に高い処方割合が示した。②2県のレセプト(国保+後期高齢者)データベース(2013~2020年10月)より、のべ923万回の経口抗菌薬処方を解析。急性咽頭炎・気管支炎・感冒に対する抗菌薬処方は、AMR対策導入以降(2016-2019年)、10-15%の減少がみられた。クリニック、小規模(200床未満)病院、および小児において、特に高い減少効果がみられることを示した。③県単位レセプトデータベース(2012~2017年)を用いたインフルエンザと高血圧治療の関連について、high-dimensional propensity score法による解析を完了した。④1県のレセプト(国保+後期高齢者)データベースを2021年9月まで更新し、COVID-19が医療に与えたインパクトについて解析を完了した。これらについて、論文化を進めている。 また、別のレセプトデータベースによるHIV関連医療の解析について審査および解析手続きが完了し、解析ロジックの構築作業を継続している。第3のレセプトデータベースを新たに構築する作業がおおむね完了し、糖尿病薬と感染性合併症の関連に関し、探索的解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の流行に伴い、大学における活動制限や、データベース利用に関する手続きや審査の遅延があったが、その後、新たなレセプトデータベースの構築、解析内容の拡張が、ほぼ当初の予定通りに進みつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
データ抽出が終了したテーマについては解析を進める。妥当な結果が得られているので論文公表を進める。新たなデータベースや、解析プラットフォームの構築が進んだため、さらにデータ抽出や解析を進展させる。橋渡し人材の育成も引き続き進めていく。
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Causes of Carryover |
データベース使用料の請求が次年度に後倒しになったこと、COVID-19の流行に伴う世界的な半導体不足によりPCサーバ納入が遅延したこと、が主たる理由であり、次年度に使用が予定されている。
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Research Products
(6 results)