2021 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive research to clarify the clinical significance of cognitive flailty
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20K07832
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
神崎 恒一 杏林大学, 医学部, 教授 (80272540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 孝枝 杏林大学, 医学部, 准教授 (30396478)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 新型コロナウィルス感染症 / 活動量 / 活動意欲 / 栄養不良 / 老年症候群 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
【フレイルレジストリ登録者の経時変化】フレイルレジストリ開始後、登録患者数は92名となっており、1年ごとのフレイル評価を実施できた数は、1年後69名、2年後52名、3年後39名、4年後22名、5年後4名であった。継続者44名と脱落者48名の特徴を比較した結果、継続者は初回登録時のCHS得点が低く、MoCA-J得点が高く、LSNS-6得点が高かった。すなわち身体的、社会的フレイルが比較的経度であることが来院継続につながると考えられた。また、登録時と1年後の比較で、1年後のMoCA-J得点の上昇はフレイルの改善と並行することが判明した。 【緊急事態宣言下での高齢者の変化】新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴い緊急事態宣言発令が高齢者の健康状態にもたらした影響について調査した結果、2020年第3四半期(7~9月)に受診した初診患者は他の時期の初診患者と比較して、服用薬剤数が有意に多く、簡易フレイルインデックス得点が有意に高い(フレイルと判定される)者が多かった。また、意欲、特に食欲と活動意欲が低下している者が多かった。 【もの忘れ外来初診患者におけるコグニティブフレイル患者の臨床的特徴】もの忘れ外来初診患者で、MCIと診断された224名(男性81名/女性143名、平均年齢80.3±4.1歳)を対象として、CHS基準3点以上のフレイル者(コグニティブフレイル56名)とMCIのみ(168名)の2群の比較を行った結果、コグニティブフレイル群では老年症候群の保有数が多い、日中の活動量が低い、血中アルブミン、ヘモグロビンが低値、CONUT法で栄養不良と判定された者の割合が高い、動脈硬化が進んでいる、ラクナ梗塞多発例が多いなどの特徴が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フレイルレジストリ開始後登録患者数は92名となっており、新型コロナウィルス蔓延が続く中、登録と継続は堅調である。ただし、脱落者も多いため来院の継続を促す策が必要である。2021年度は研究実績の概要に示したような成果を上げることができた。また、ここには記載していないが「もの忘れ外来初診患者の多剤服用の特徴」に関する研究発表も行った。 2021年度に行った研究の中で注目すべきはMCIとコグニティブフレイルの特徴の差異であり、コグニティブフレイル者は活動量が低いというデータは理解しやすいが、栄養不良、老年症候群の保有数が多い、動脈硬化が進んでいる、ラクナ梗塞多発例が多いなどの特徴は、新知見であり、今後のコグニティブフレイルのidentification確率につながる知見と考える。 現在、コグニティブフレイル高齢者に対する身体機能・認知機能改善を目的とした介入研究の準備を進めている。これはコグニティブフレイルとコグニティブプレフレイル者を対象として運動と栄養の両面から介入を行う研究であり、2022年度の研究の主題目となる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、フレイルレジストリ登録者の横断的、縦断的(経年変化)に調査を進める。新型コロナウィルスの蔓延に伴い脱落例が多いことが問題であるが、対策を立てて受診継続ができるようにする。コグニティブフレイルの特徴を明らかにするため、2021年度に明らかとなった栄養不良、老年症候群、動脈硬化、新型コロナウィルス感染症をキーワードとして研究を推進する。 今年度コグニティブフレイル高齢者に対する身体機能・認知機能改善を目的とした介入研究を開始するためのプロトコルと材料の準備は揃っている。現在、特定臨床研究のための認定臨床研究審査委員会の審査に諮るための最終段階にあるので、認可され次第登録を開始する予定である。なお、登録期間は3か月~半年、観察期間を半年間予定しているため、早期に実施を開始し、中途となっても解析結果を報告することを予定している。
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Causes of Carryover |
2021年度も新型コロナウイルス蔓延状況のため、予定していた海外学会に行くことができず、旅費と参加費を使用しなかった。次年度海外に行ける状況であれば研究成果の発表と最新の情報を得るために海外学会に参加する予定である。 次年度はフレイル関連検査継続、及びデータ整理のための人件費と「もの忘れ教室」の講師への謝金、消耗品として舌圧測定器を使用する際の舌圧プローブ、検体分析プラスチック用品、データ保存のためのUSBメモリや印刷用消耗品等の購入を予定している。
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