2020 Fiscal Year Research-status Report
水域領域プラスチックバイオフィルムを介した薬剤耐性菌/薬剤耐性遺伝子の拡散挙動
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20K07836
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
岡崎 充宏 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (40734869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花尾 麻美 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (40756920)
和田 裕雄 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 先任准教授 (50407053)
筒井 裕文 東京電機大学, 理工学部, 助教 (70620649)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / 薬剤耐性遺伝子 / プラスチック汚染 / ポリエチレンテレフレタート / バイオフィルム / ESBL |
Outline of Annual Research Achievements |
医療関連感染において薬剤耐性菌の世界的な蔓延の防止対策には,ヒト,動物,環境の包括的な対策(one health)の概念をもとに取り組まれている。研究代表者らは,これまでに代表的な薬剤耐性菌のひとつであるESBL産生大腸菌群の都市河川(多摩川)および東京湾水域への流出の現状を明らかにし,これらの水域が薬剤耐性菌のリザーバーとなっている危険性を提唱した。その一方で、海域におけるプラスチック(PL)汚染による環境問題は公衆衛生上、極めて深刻な問題となっている。研究代表者らは、河川および海水の水域におけるPL汚染と薬剤耐性菌/薬剤耐性遺伝子の拡散との関連性に着目し、このPL表面上に形成されたバイオフィルム(BF)が、薬剤耐性菌/薬剤耐性遺伝子の拡散のための運び屋(ベクター)の役割を演じている可能性について明確にする必要性がある。 2020年度は薬剤耐性菌(市販菌株)を用いて実験的にPL表面上にBFを形成させ、BF量の測定を行った。供試した薬剤耐性菌株(ESBL産生大腸菌およびESBL産生肺炎桿菌)と非薬剤耐性大腸菌株の計3菌株に共通してすべてのPL表面上でBF形成を確認した。そのなかでもポリエチレンテレフレタート(PET)上でのBF量がもっとも多く形成されることを明らかにし、次いでポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)であった。このことは、PLの構成内容成分の差異が、供試菌株の付着性およびBF形成と関連していることを示唆した。また、3種類の菌株間によるBF量の産生性は、2種類の薬剤耐性菌株と非薬剤耐性菌株によるBF産生量に有意差はなく、薬剤耐性との関連性は見いだせなかった。以上のことは、PL表面上のBF量の測定が可能であること、および環境から収集したPLの構成成分の種類を分析することの必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画した2020年度の課題は「実験的なプラスチック(PL)表面上のバイオフィルムコミュニティーにおける薬剤耐性菌/薬剤耐性遺伝子の検出および分析方法の確率」である。そのなかで、実験的なPL表面上へのBFの形成およびBF量の測定については既知の方法に準じて実施することで結果を得るところまで至った。しかし、PL表面上からのBF剥離およびPCR法を用いた薬剤耐性遺伝子の検出・型別の解析については、2020年度のコロナ禍において研究施設への入館制限等により、十分な研究活動が行えなかったこともあり課題として残った。以上のことから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)引き続き実験的に剥離したBFからの薬剤耐性菌株の分離培養およびPCR法による薬剤耐性遺伝子の増幅・検出・解析を行い、その一連のプロトコルを確立する。 2)実環境調査①である多摩川水系における浮遊PL表面上のBF分析を行う。その際に、既知の文献より多摩川水系においてはPLの浮遊は少ないことが指摘されていることからPL由来のBFの回収は難題となる可能性がある。そこで、並行して下水処理場下流域の河川中に沈む自然石の表面からBFを回収し、薬剤耐性関連の解析を行い、2022年度に向けた海水域での調査の基盤を確立する。 3)2022年度の実環境調査②である海水域における浮遊PLのBF分析のために、事前の調査として荒川河口からPLを回収し、BF付着の状況調査を行う。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通りの支出額に収めることができた。コロナ禍の影響で詳細に詰めることが難しかったが、次年度予算に繰越し、1,307,769円を薬剤耐性菌の分離・培養および次世代シーケンスを行うために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)