2020 Fiscal Year Research-status Report
タコツボ型心筋症の発症機構の解明―心筋微量元素動態分析と超微形態学的研究
Project/Area Number |
20K07838
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Research Institution | Osaka Health Science University |
Principal Investigator |
藤岡 重和 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (20319528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺崎 文生 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20236988)
宗宮 浩一 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (20319544)
早崎 華 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (90257866)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心筋症 / ストレス / 微量元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
タコツボ型心筋症は1990年代にわが国で疾患概念が確立され、現在では国際的に広く認識された心病態である。典型例では、精神的あるいは身体的ストレスを誘因として急性心筋梗塞に類似した胸痛と心電図変化で発症する。左室の収縮異常の形態が日本古来の蛸壷漁で使われる素焼きの蛸壷に似ていることから、タコツボ型心筋症の命名がなされた。本症の発症機序は不明であるが、ストレスにより中枢神経から心臓交感神経に強い刺激が送られ、心臓に限局したカテコラミンの過剰放出が契機となるとされる。本症の契機となるストレスはさまざまで、肉親の死亡、喧嘩などの情動ストレス、喘息発作、感染症、骨折や癌に伴う疼痛などの身体的ストレスが誘因となる。最近では、検査、処置、手術などの医療行為、自然災害での発症例も多数報告されるようになった。急性期に心原性ショック、心室細動などの致死性不整脈、心破裂を起こし死亡することもあることから病態、病因の解明が急務である。 本研究では、世界最高性能を有する大型放射光施設 (SPring-8)X線蛍光分析装置の利用により、カテコラミン投与による心筋細胞内微量元素動態の解明を進めた。作成した心筋細胞試料をSPring-8ビームラインに持ち込み、細胞内に顕微鏡を用いて測定視野を設定し、ナノビームX線蛍光分析装置により元素分析を実施した。その結果、各測定元素において良好な蛍光X線イメージングが得られた。一部の必須微量元素は核周囲に局在しており、細胞質周辺部に多く存在する微量元素も確認された。そして、種々カテコラミン投与により数種の微量元素動態に変化を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、高輝度光科学研究センターによる成果公開優先利用課題公募(2020年 A期)に研究課題が採択され、SPring-8 ナノビームX線蛍光分析装置(理研播磨)の利用が可能となった。そのため、2020年度研究計画は、当初予定どおり実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
超微形態学的研究により心筋細胞小器官の傷害部位等を特定して、タコツボ型心筋症の発症機構の解明を進める。
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Causes of Carryover |
高輝度光科学研究センターにより成果公開優先利用課題として受理されたため、SPring-8ビーム使用料が当初予定額より少なくなった。そのため、次年度使用額が生じたが、当該研究経費は超微形態学的研究、分子生物実験関連の消耗品購入に充当する。
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