2021 Fiscal Year Research-status Report
新規Epo抵抗性因子の探索と分子機序の解明:赤芽球分化・増殖と脂質代謝の関連性
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20K07844
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
木村 秀樹 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 准教授 (20283187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 明 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (20546999)
山内 高弘 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (90291377)
鳥居 国雄 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 主任臨床検査技師 (40534045)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎性貧血 / エリスロポエチン抵抗性 / 血液透析患者 / アシルカルニチン / 血清脂質 / 亜鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
採取した全264例の血清でアシルカルニチン(AC)のプロフィールを測定し、解析に利用した。解析対象は1)でCRP<0.3mg/dL、フェリチン<500ng/mL、出血・感染症なしの180例、2)で全264例とした。 1) 血液透析患者における新規の造血規定因子の探索: 網赤血球数(Ret)は、全例では女性、logTG、log(AC/C18:1)と正相関し、Fe、TIBCと負相関した。男性群ではlogTG、log(AC/C18:1)と正相関した。女性群ではドライ体重、logTG、log(AC/C18:1)、ESA量と正相関し、HDL-Cと負相関した。重回帰分析では、女性、logTG、log(ACT/C18:1)、ESA量がRetの正の独立規定因子であり、Feが負の規定因子であった。 2) 血液透析患者での新規のEpo抵抗性規定因子の探索: 全例、男性群、女性群のすべてで、ドライ体重、アルブミン、TC、FeがEpo抵抗性と負相関し、logCRP、log(AC/c18:1)とは正相関した。全例の重回帰分析では、ドライ体重、TC、Feが負の独立規定因子でlogCRP、log(AC/C18:1)が正の規定因子であった。 3) 造血細胞実験:臨床データでは、ACのアシル基の炭素鎖が長いほど、Retとの正の相関係数が大きく、長鎖のAC蓄積が造血と関連すると推測された。従って、NaB(1mM)によるK562細胞の赤芽球への分化誘導を試みた。96時間処置では、Hb合成は確認できなかったが、PDHのリン酸化の増強があった。赤芽球分化で、好気性糖酸化から嫌気性解糖へシフトすることが報告されているが、これに脂肪酸代謝が関与する可能性が考えられた。 4) 2年間、前向きにエリスロポエチン抵抗性と非抵抗性の症例を調査したが、ESAの必要度が経時的に変動して確定的な症例は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 血液透析患者における新規の造血規定因子の探索、2) 血液透析患者での新規のEpo抵抗性規定因子の探索:2018年度の検体に関しては、年齢、性別、身長、体重、透析歴、服薬、糖尿病の有無、透析効率、推定蛋白摂取量、Epo製剤種類・使用量、ルーチン検査[血算・生化学、Fe、TIBC、CRP、血清脂質(TC,TG, LDL-C, HDL-C)] は藤田記念病院検査部で測定されていたため迅速に情報提供された。APN、Zn、フェリチンは当院検査部で測定する環境が整備されていたため、2021年度内に測定した。脂質関連因子のアシルカルニチン(AC)は残り検体全部の測定も2021年度に終了した。 3)高度Epo抵抗性患者と低度Epo抵抗性患者の検出:2020-2021年度の血液透析患者のデータを収集した。ESAの使用量が変動する例が多く、適切な抵抗性患者を選択できていないが、データの調査を継続していく。 4) 造血細胞実験:臍帯血からの赤芽球分化・増殖の実験は適切な臍帯血が得られなかったため、実施できなかった。その代替えとして、K562細胞を用いて,赤芽球への分化誘導を試みた。基礎実験としてはやや遅れている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 血液透析患者における新規の造血規定因子の探索、2) 血液透析患者での新規のEpo抵抗性規定因子の探索: この2つの検討については、2021年度に概ね臨床データの収集はできた。現在、本学の共用質量分析器が故障中であり、研究協力者の木戸口技師(当検査部)が実施予定のリン脂質(PL)、スフィンゴ脂質(SL)の測定は困難であったため、アシルカルニチンの測定を外注化した。PL,SLの測定の外注は費用面でかなり困難であり,アシルカルニチンを主体とする解析にシフトする。 3)高度Epo抵抗性患者と低度Epo抵抗性患者の検出:2022年度もデータ収集を継続し、高度と低度の抵抗性患者を選択する。 4) 造血細胞実験:本年度は臍帯血からの赤芽球分化・増殖の実験は適切な臍帯血が得られなかったため、実施できなかった。しかし、K562細胞に加えて、ヒト臍帯血の赤血球前駆細胞由来であるHUDEP-2を利用して、脂質、アシルカルニチンと造血との関連性を解析する。
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[Journal Article] Favorable therapeutic efficacy of low-density lipoprotein apheresis for nephrotic syndrome with impaired renal function2022
Author(s)
Muso E, Sakai S, Ogura Y, Yukawa S, Nishizawa Y, Yorioka N, Saito T, Mune M, Sugiyama S, Iino Y, Hirano T, Hattori M, Watanabe T, Yokoyama H, Sato H, Uchida S, Wada T, Shoji T, Oda H, Mori K, Kimura H, Ito O, Nishiyama A, Maruyama S, Inagi R, Fujimoto S, Tsukamoto T, Suzuki Y, Honda H, Babazono T, Tsuruya K, Yuzawa Y.
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Journal Title
Ther Apher Dial.
Volume: 26
Pages: 220-228
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] PPAR-δ activation reduces cisplatin-induced apoptosis via inhibiting p53/Bax/caspase-3 pathway without modulating autophagy in murine renal proximal tubular cells.2021
Author(s)
Shan J, Kimura H, Yokoi S, Kamiyama K, Imamoto T, Takeda I, Kobayashi M, Mikami D, Takahashi N, Kasuno K, Sugaya T, Iwano M.
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Journal Title
Clin Exp Nephrol.
Volume: 25
Pages: 598-607
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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