2021 Fiscal Year Research-status Report
Diagnostic stewardship整備に向けた微生物検査診断の質的分析
Project/Area Number |
20K07846
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
馬場 尚志 岐阜大学, 医学部附属病院, 教授 (60359750)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Diagnostic stewardship / 微生物検査診断 / 質的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会における新型コロナウイルス感染症の動向については、いまだ見通せない状況であるが、ポストコロナの世界では再び薬剤耐性菌対策が最重要課題の1つとなろう。その重要な柱の1つである抗菌薬適正使用には、適切な微生物検査の実施および解釈、それに基づく正確な原因菌判定が不可欠である。 本研究では、各施設の微生物検査体制の調査とともに、小規模施設を含む規模の異なる複数の医療施設において、後方視的なカルテレビューとともに、医師に対する個別インタビューを実施し、微生物検査に関する医師の思考過程や求められる知識、検査部門とのコミュニケーションなどについて、質的に評価・分析することを計画した。 しかし、2020年度・2021年度を通じて、社会全体が新型コロナウイルス感染症の流行に繰り返し見舞われる予期せぬ事態が続き、各施設の微生物検査担当者・感染管理担当者が新型コロナウイルス感染症対応に追われるとともに、本研究の特色でもある対面調査や各施設への訪問調査も大きく制限され、本来の研究計画を進めることができていない。 一方、コロナ禍の中で、オンライン技術の活用など県内の各医療施設との情報共有・連携体制の構築を進めてきた。2021年度は、この体制を基に多施設を対象とした基本調査を行い、感染防止対策加算を算定する施設であっても、42%が微生物検査をすべて外部委託しているほか、院内で実施している施設でも半数以上が休日や夜間には検査を実施していないなど、微生物検査体制に関する問題点を明らかにしてきた。 2022年度は、これらの調査を深めるとともに、できる限り計画したカルテレビューや対面調査が実施できるよう、性急に結果を求めるのではなく、ポストコロナを視野に、着実な研究の遂行を図っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、2019年の研究計画申請時には、岐阜大学医学部附属病院が事務局を務める岐阜院内感染対策検討会への参加129施設を対象とし基礎的調査を進める予定としていた。しかし、2020年4月の第1波以降、社会全体が新型コロナウイルス感染症の流行に繰り返し見舞われる予期せぬ事態が生じ、同会の中止・開催形式の大きな変更を余儀なくされた。また、各施設の微生物検査担当者・感染管理担当者の多くが、新型コロナウイルス感染症への対応に追われ、2022年5月現在でも、研究(協力)時間の確保が極めて困難な状況が続いている。加えて、本研究の特色の1つとして、医師への個別インタビューなど対面調査を取り入れている点があるが、各施設で新型コロナウイルス感染症対策などから、診療上必須でない長時間の対面調査や外来者訪問なども制限されており、本研究の遂行にとって大きな障害となっている。 一方、この間にも、以前より合同カンファレンスを開催してきた岐阜県内の感染防止対策加算算定施設全57施設(加算1算定施設27施設、加算2算定施設30施設)では、連携を図るべくオンライン技術の活用など体制整備を進めてきた。2021年度は、この体制を基に、対象施設数は減ったものの多施設を対象とした基本調査を実施した。この調査の中で、感染防止対策加算を算定する施設であっても、42%が微生物検査をすべて外部委託しているほか、院内で実施している施設でも半数以上が休日や夜間には検査を実施していないなど、微生物検査体制に関する問題点が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、2021年度に実施した他施設を対象とした微生物検査体制に関する基本調査に加え、本研究の目的であるDiagnostic stewardship整備に向けた職種間コミュニケーションの質に関する調査を進めていく予定である。 また、本研究に不可欠な要素である個別インタビューについては、これまで周辺環境の整備とともに、オンライン技術の活用など対面調査に代わる手法も模索してきた。しかしながら、情報セキュリティーの問題などから診療情報を取り扱うことができず、やはり対面調査を行う必要があると考えている。今後の状況によっては、研究対象を自施設に絞り込むなど縮小・変更を検討しつつも、できる限り計画したカルテレビューや対面調査を実施すべく、性急に結果を求めるのではなく、ポストコロナを視野に、着実な研究の遂行を図っていく。
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Causes of Carryover |
2020年4月以降、社会全体が新型コロナウイルス感染症の流行に繰り返し見舞われるという研究計画時には予期していなかった事態が続き、各施設の微生物検査担当者・感染管理担当者が新型コロナウイルス感染症対応に追われるとともに、本研究の特色でもある対面調査や各施設への訪問調査も大きく制限され、本来の研究計画を進められなかった。 一方、この間、オンライン技術の活用など県内の各医療施設との情報共有・連携体制の構築を進め、2021年度はこの体制を基に多施設を対象とした基本調査を行い、微生物検査体制に関する問題点を明らかにしつつある。2022年度は、微生物検査体制に関する基本調査に加え、本研究の目的であるDiagnostic stewardship整備に向けた職種間コミュニケーションの質に関する調査を進めていく予定である。また、本研究に不可欠な要素である個別インタビューについては、これまで周辺環境の整備とともに、オンライン技術の活用など対面調査に代わる手法も模索してきた。しかしながら、情報セキュリティーの問題などから診療情報を取り扱うことができず、やはり対面調査を行う必要があると考えている。今後の状況によっては、研究対象を自施設に絞り込むなど縮小・変更を検討しつつも、できる限り計画したカルテレビューや対面調査を実施すべく、ポストコロナを視野に、着実な研究の遂行を図っていく。
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