2022 Fiscal Year Annual Research Report
死体血HbA1c値測定におけるPOCT(臨床現場即時検査)機器の誤差要因
Project/Area Number |
20K07853
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
加藤 菜穂 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (20457766)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 死体血HbA1c値 / 臨床即時検査機器 / ボロン酸アフィニティ法 / 高速液体クロマトグラフィー法 / ラテックス凝集法 / 誤差要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,法医取り扱い事例においてもPOCT(point-of care testing:臨床現場即時検査)機器の利用が試みられているが,検査結果の解釈には生体試料との差異を考慮を要する.法医血液検体につき,測定原理の異なるHbA1c用POCT機器及び外注検査で下記項目を比較した. HbA1c値…HemoCueHbA1c501アナライザ(ボロン酸アフィニティ法),ラピッドカラムA1c(RC20,高速液体クロマトグラフィ法),A1cCareアナライザ(SDA1cCareの後継機,ラテックス凝集法),外注検査(SRL社依頼,ラテックス凝集法).Hb値・血糖値…iSTAT(生化学検査用POCT機器)・外注検査,グリコアルブミン値・1,5AG値…外注検査. POCT機器による測定検査値は概ねHemoCue>RC20>A1cCare≧外注検査であった.HemoCueは貧血・濃縮検体や一酸化炭素(CO)中毒の影響で異常高値になり得ること,A1cCareは貧血検体測定エラーが発生しやすいこと,RC20は数値は安定しているもののほぼ全例で外注検査値よりやや高値となることが明らかとなった.3法全てで高値の4例はいずれも糖尿病治療歴が把握されているか,生化学的検査でも最近の高血糖が疑われる事例であった. ボランティアから採取した血液を用いて,実験的に貧血(希釈),多血(血漿除去),CO付加血を作成し各POCT機器と外注検査でHbA1c値を比較すると,HemoCueは貧血及び中等度以上のCO中毒で,RC20は重度のCO中毒で基準より1%以上高く測定され得,A1cCareは貧血及び多血例で測定エラーが多発した.HemoCueは測定光波長や検査設計の特性上,A1cCareは測定エラー条件設定上,死体血への適用が困難な場合がある.RC20はHb分画のクロマトグラム表記から異常Hbの存在を含めた解釈が可能である.
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