2021 Fiscal Year Research-status Report
DPP-4阻害薬の臨床効果とBDNF遺伝子多型との関連
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20K07855
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
高橋 義彦 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (80415562)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | BDNF / 遺伝子多型 / DPP-4阻害薬 / 2型糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
Brain-derived neurotrophic factor(BDNF)は2020年には動物モデルにおいて、DPP-4阻害薬が中枢神経系においてBDNFを増加させることや、インスリン分泌増幅効果のあることが報告された。本研究ではその代表的遺伝子多型rs6265と2型糖尿病患者のDPP-4阻害薬への無反応性とに関連性があるかどうかについて過去のコホートを用いて追加研究を行った。2021年度は173名の遺伝子解析を終え、臨床所見との関連を統計学的に解析した。その結果、BDNFの神経細胞からの分泌が低下すると考えられるVal66→Met66という先導配列のアミノ酸置換を生じるG→A多型のホモ接合体(A/A)ではnon-responder 割合(NR)が13.6 %で, そうでない個体(G/Gでは32.3%、G/Aでは33.7% G/*)と比較して低いという結果であった。このことからnon-responderという表現型に関してA alleleが劣性であると考えて、G/*群とA/A群のNRを比較した。単変量解析ではP=0.083と有意ではないが傾向あり、BDNFが運動によって分泌増加することから身体活動量(PA)推定値の中央値で分けて合計4群(G/*かつPA低、G/*かつPA高、A/AかつPA低、A/AかつPA高)に分けてNRを検討するとそれぞれ37.3%、27.9%、18.2%、9.1%と身体活動依存性かつSNP依存的に低下する傾向があった(p = 0.096)。多変量解析では第1群に対する第4群のnon-responderリスクのオッズ比は0.121(P=0.063)で、統計学的に有意ではなかったが、DPP-4阻害薬によりconstitutiveなBDNF分泌が増強されるとA/Aの場合にnon-responderが低くなるという仮説を考え、論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在可能な限りの対象患者での解析は完了しており、論文投稿準備に入っている。投稿の結果によっては追加解析などを行う必要が生じる。
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Strategy for Future Research Activity |
論文投稿を継続し、必要に応じて追加の解析を行う。
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Causes of Carryover |
新たな対象患者を募って遺伝子解析を行うことが困難な状況となったため次年度使用額が生じたが、今後論文投稿に必要な英文校正や新たな統計解析用ソフトウエアの購入が必要となり、論文が受諾されれば投稿料が必要となる。
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