2020 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of host-mediated anti-influenza virus activity of a Kampo medicine and its active ingredients
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20K07859
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
永井 隆之 北里大学, 大学院感染制御科学府, 准教授 (00172487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清原 寛章 北里大学, 大学院感染制御科学府, 教授 (70161601)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 漢方方剤 / 補中益気湯 / インフルエンザウイルス / 抗ウイルス活性 / 宿主介在性 / ウイルス性肺炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
漢方薬は古代中薬処方に由来するが、同じ処方名でも構成生薬や分量に違いが認められる場合がある。補中益気湯は、中薬処方(BZYQT)と漢方処方(HET)で数種の生薬の基源植物が異なるなど違いが認められ、作用の異同の明確化が重要である。そこで、poly(I:C)誘発気道炎症モデルマウスに対する作用の比較と作用成分の解析を試みた。 BALB/cマウスにpoly(I:C)を3日間連日経鼻的肺接種することで気道炎症を惹起させ、BZYQTまたはHET (1.5 g/kg)をpoly(I:C)接種7日前から3日後まで経口投与した。最終投与24時間後の気管支肺胞洗浄液(BALF)中のミエロペルオキシダーゼ活性は両処方で減少傾向を示し、BZYQTで好中球数の増加は有意に減少した。また、肺組織のE/P-セレクチンmRNA発現量は両処方で有意に増加したが、BALF中のリンパ球数とB220 mRNA発現量の増加はBZYQTのみで観察された。一方、BZYQTのラットへの経口投与で血漿及び尿中に検出された成分のうち5成分がpoly(I:C)処置ヒト気道上皮株化細胞からのCXCL10産生を抑制した。そのうち、血漿中で検出され、強い活性を示したシミゲノシドとアトラクチレノリドIII (10 mg/kg)はploy(I:C)誘発気道炎症モデルマウスへの経口投与により、増加したBALF中の好中球数を有意に減少させた。 以上の結果より、補中益気湯の中薬及び漢方処方は共通して肺への好中球集積抑制による抗炎症作用を有することが示唆された。さらに、中薬処方では、血管内皮細胞のE/P-セレクチンの発現増強などを介して肺組織へのB細胞のリクルートを促進することが推定された。一方、両処方の共通成分であるシミゲノシドとアトラクチレノリドIIIは好中球の肺組織へのリクルートを抑制し、両処方の抗炎症作用発現に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、補中益気湯のインフルエンザウイルス感染に対する有効性の作用機序について、気道免疫系に対する作用を中心に解明するとともに、作用成分の解明を行うことを目的としている。 令和2 (2020)年度は、①補中益気湯のインフルエンザウイルス感染に対する効果と作用機序の検討、並びに②補中益気湯のウイルス性気道炎症に対する効果及び作用機序の検討を計画していたが、②補中益気湯のウイルス性気道炎症に対する効果及び作用機序の検討については、研究実績の概要に記載した成果が得られた。また、令和3 (2021)年度以降に計画していた「ウイルス性気道炎症に対する補中益気湯中の活性成分の検討」についても一部、研究実績の概要に記載した成果が得られた。①補中益気湯のインフルエンザウイルス感染に対する効果と作用機序の検討についても既に実験を行っており、採取した検体について令和3 (2021)年度に解析を行う予定である。 以上のことから、(2)おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
①補中益気湯のインフルエンザウイルス感染に対する効果と作用機序の検討については、既に補中益気湯を予防的または治療的に経口投与したインフルエンザウイルス感染マウスの肺試料を採取していることから、これらについてインフルエンザウイルスの増殖及び肺炎症に対する補中益気湯の作用及び作用機序について検討を進める予定である。また、②補中益気湯のウイルス性気道炎症に対する効果及び作用機序の検討については、poly(I:C)の肺接種で誘導される気道炎症モデルマウスではI型IFNによって誘導されるISG (IFN stimulated gene)などのウイルスの複製を阻害する抵抗性因子群の一部の発現増強が観察されることから、これらの発現に対する補中益気湯の作用について検討を行う予定である。さらに、③ウイルス性気道炎症に対する補中益気湯中の活性成分の検討については、補中益気湯の経口投与によって体内で検出される補中益気湯含有成分及び体内代謝産物についてインフルエンザウイルス感染及びウイルス性気道炎症に対する効果と作用機序を検討するとともに、補中益気湯からの活性成分の精製・同定を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
生じた次年度使用額は875円である。 納入業者への支払いは銀行振込で行っているが、110円から550円の振込手数料がかかり、実質的に使用できる金額は320円から765円となり、極めて非効率的であるため、令和2 (2020)年度は使用しなかった。 生じた次年度使用額は翌年度分として請求した助成金と合わせて物品費として使用させて頂く予定である。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Hochuekkito comprising Atractylodis lanceae rhizoma prevents pulmonary infection of Streptococcus pneumoniae in cyclophosphamide-treated mice through acceleration of anti-bacterial protein production2020
Author(s)
Satoshi Ideno, Yosuke Tanaka, Kayako Sasou, Haruna Hosaka, Hidenori Matsui, Hiroko Maruyama, Miki Tonooka, Mari Endo, Takayuki Nagai, Hiroyuki Seki, Toshihiko Hanawa, Go Ito, Hiroshi Odaguchi, Hiroshi Morisaki, Hiroaki Kiyohara
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Journal Title
Traditional & Kampo Medicine
Volume: 7 (3)
Pages: 166-179
DOI
Peer Reviewed
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