2020 Fiscal Year Research-status Report
選択的スプライシングの操作により天然変性領域を制御するALS治療戦略の検証
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20K07880
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
須貝 章弘 新潟大学, 脳研究所, 助教 (70758903)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / TDP-43 / アンチセンスオリゴ / 天然変性領域 / 選択的スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、筋萎縮性側索硬化症の病原性タンパク質における天然変性領域の機能的かつ病的意義を明らかにすることにより、筋萎縮性側索硬化症の革新的な治療法の開発につなげることにある。天然変性領域は、特定の構造をもたないフラフラした領域であり、これにより、多様な分子との相互作用が可能になり、RNA顆粒などの膜をもたないオルガネラを形成する液-液相分離の形成に関わっている。しかし、このフレキシブルな構造は、一方で、線維化・凝集化のリスクをもつ。天然変性領域を介した液-液相分離と凝集は、神経変性疾患の異常タンパク質の蓄積を説明する病態として、近年、殊に注目を集めている。 本研究で着目する天然変性領域は、選択的スプライシングを受ける領域によりコードされる。これまでに、この選択的スプライシングを修飾する因子について、明らかにしてきた。これには、RNA配列、エピジェネティクス因子、RNA結合タンパク質が含まれる。これらの基礎的知見の上に、当該年度は、この選択的スプライシングを制御するための複数の標的配列を見出した。マウスモデルを用いた天然変性領域の制御効果を検証する実験計画は、予定通りに進行している。また、天然変性タンパク質の精製と凝集評価の系を確立し、分子生化学的な解析を進めている。これらの成果は、筋萎縮性側索硬化症の治療法の開発に向けた学術的な基盤を提供するものであり、今後の発展が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画段階で予定していた範囲内の進行状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
天然変性領域を有するタンパク質と、選択的スプライシングにより天然変性領域を欠いたタンパク質の機能解析をさらに進める。また、動物モデルにおける実証を行う。
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Research Products
(2 results)