2021 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive PET imaging for oxidative stress and tau to clarify the pathogenesis of Alzheimer's disease
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20K07900
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
井川 正道 福井大学, 学術研究院医学系部門, 講師 (60444212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡沢 秀彦 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50360813)
米田 誠 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (70270551)
平山 暁 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (20323298)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / 酸化ストレス / タウ / PETイメージング / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病(AD)は認知症でもっとも多い原因疾患であり,脳内のアミロイドβ蛋白とタウ蛋白の蓄積が神経細胞の減少(神経変性)および症状(認知機能低下)をもたらすことが知られている.病理学的検討などから,AD病態機序の進行に,フリーラジカル増加による酸化ストレスが関与していることが想定されている.本研究では,AD患者および健常者に対し,64Cu-ATSM(酸化ストレス)・18F-MK6240(タウ)・11C-PiB(アミロイド)によるポジトロンCT(PET)と機能的MRI(萎縮・神経変性)による包括的イメージングを実施し,心理検査(重症度)および電子スピン共鳴装置(ESR)による血清中の各種フリーラジカル測定との相関や,患者群と健常者群の間での比較を検討する.これらの検討によって,酸化ストレスのAD病態,特にタウ病変の進展への関与を明らかにすることを目的としている. 二年度目である本年度では,当初の研究計画に沿って,AD患者群および健常者群に対し,64Cu-ATSM(酸化ストレス)および11C-PiB(アミロイド)によるPET撮影を中心とした検査を実施した.また,動物を使用した前臨床試験によって18F-MK6240(タウPET薬剤)に毒性がないことを確認し,倫理審査委員会の承認を受け,18F-MK6240によるPET検査の実施を準備した.さらに,患者脳内における64Cu-ATSMの集積に対し動態解析を行い,より正確な酸化ストレスの評価法を確立し,早期AD患者における海馬や後部帯状回での有意な酸化ストレスの増加を明らかにした(論文投稿中). 本研究を推進することによって,酸化ストレスとタウを中心としたAD病態の包括的な可視化という新たな評価法を確立し,タウ病変・病態進展の“加速因子”としての酸化ストレスの影響が解明できることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年度目である本年度では,研究計画に沿ってAD患者群および健常者群に対し,64Cu-ATSMおよび11C-PiBによるPETを中心とした検査を実施した.また,動物を使用した前臨床試験によって18F-MK6240に毒性がないことを確認し,倫理審査委員会の承認を得て,18F-MK6240 PET検査の準備が完了した.引き続き,患者群および健常者群に対して64Cu-ATSMおよび11C-PiBによるPET検査を行うとともに,次年度早々に18F-MK6240 PET検査を実施する予定である. また,64Cu-ATSMの脳内集積を動態解析によって検討したところ,早期AD患者群では健常者群と比較して,海馬や後部帯状回における有意な集積の増加が認められた.この検討によってより正確な酸化ストレスの評価法を確立することができ,かつこの結果はAD病態への酸化ストレスの関与を明確に示すものであった.今後はさらに各病期・重症度や,11C-PiBによるアミロイド沈着,18F-MK-6240によるタウ蓄積との比較を行い,AD患者における酸化ストレスとAD病理との直接的な比較検討による神経変性機序の病態解明を目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,PET/MRIイメージングによってAD患者脳内の酸化ストレス・タウ・アミロイド・神経変性を包括的に可視化し,酸化ストレスがAD病態におけるタウ病変の進展に関与するのかを検証する.そのために,以下の計画に従って研究を実施する. ① 被験者の選定,病期・重症度の評価:臨床的診断基準に合致するAD・軽度認知障害(MCI)患者および認知機能正常の健常者に対し,十分な説明と同意の上,病歴・診察・心理検査による病期・重症度の評価を行う.②PET/MRI画像検査:被験者に対し,本学設置のPET/MRIスキャナによって,64Cu-ATSM(酸化ストレス)・11C-PiB(アミロイド)・18F-MK6240(タウ)のPET/MRI撮影を行う.③ 血液中フリーラジカル測定:末梢血血清を電子スピン共鳴装置(ESR)にかけ,全身の酸化ストレス状態を測定する.④ 画像解析:得られた画像データに対し,画像解析ソフトウェアを用いて,画像の重ね合わせ・脳領域ごとの関心領域の設定・動態解析を行い,各PETの集積や各種MRI情報を機能画像化・数値化する.⑤ 臨床症状・画像検査・血液中フリーラジカルの再評価:一定期間(1-2年)経過後に,各被験者に対して臨床症状・重症度の評価,PET/MRI撮影,ESRによる血液中フリーラジカル測定を再度施行し,経時的変化の検討のためのデータを得る.⑥ 統計学的検討:得られたデータをもとに,64Cu-ATSM集積と18F-MK6240・11C-PiB集積,重症度,萎縮などの各種MRI情報,血液中フリーラジカル量との比較・相関,群間での比較,経時的変化を検討する. 以上の計画を推進し,AD患者における酸化ストレスとアミロイド・タウ・神経変性(萎縮)および症状(重症度)との比較を行うことで神経変性機序の病態解明を目指す.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い,検査に必要な物品に係る消耗品費(PET薬剤など)や,学会などへの参加に必要な旅費への使用が当初の予定よりも少なくなったことにより,次年度使用額が生じた. 研究自体は概ね順調に進行しており,次年度には18F-MK6240(タウ)PET検査も開始されるため,係る消耗品費や,学会での情報収集・発表に係る旅費も増加することが見込まれており,今回の次年度使用額はそれらに充てる予定である.
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[Journal Article] Quantitative Evaluation of 18F-Flutemetamol PET in Patients With Cognitive Impairment and Suspected Alzheimer's Disease: A Multicenter Study2021
Author(s)
Matsuda H, Ito K, Ishii K, Shimosegawa E, Okazawa H, Mishina M, Mizumura S, Ishii K, Okita K, Shigemoto Y, Kato T, Takenaka A, Kaida H, Hanaoka K, Matsunaga K, Hatazawa J, Ikawa M, Tsujikawa T, Morooka M, Ishibashi K, Kameyama M, Yamao T, Miwa K, Ogawa M, Sato N
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Journal Title
Frontiers in Neurology
Volume: 11
Pages: 578753
DOI
Peer Reviewed
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