2021 Fiscal Year Research-status Report
Clinical research of Late-onset AD/HD as a possible differential diagnosis dementia
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20K07921
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐々木 博之 熊本大学, 病院, 特任助教 (00839102)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | very late-onset ADHD |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症とは緩徐に(時に急速に)認知機能の低下を生じる初老期や老年期発症の後天的な疾患である。一方、発達障害は基本的に先天的な疾患であり、両者の鑑別は一見それほど難しくないように思われる。しかし、発達障害の一部に、一見認知症のように見えてしまう一群が存在しているのではないかという視点が当方の研究の概要であり、本研究の独自性である。 本邦ではこれまで、この内容をいくつかの論文で主張してきた。しかし、未だ海外へ報告をしたことはなかった。科研費取得後、研究の一部をケースレポートという形で海外のジャーナルに投稿してみたところ、BMC psychiatry(IF:3.3)にアクセプトとなった。これが認知症と見分けがつきにくい経過をたどる初老期発症の発達障害(これまでのLate-onset ADHDよりもさらに「遅い」発症という意味で、very late-onset ADHDとして報告)の最初の報告となった。確かにそういった一例が存在していることについては報告できた。しかし、当方の関心事は、そういった患者が実際どのくらい存在し、その患者群の特徴や鑑別方法は何かという点である。その点について可能な限り明らかにすることが今回の科研費の残りの期間にすべきことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】で記載したように、今回の研究はこれまでにない報告となる。よって、case reportでさえ、海外のジャーナルに認められるためには相当は準備と時間を要すると考えていた。そのため科研費の期間を長めに設定したが、case reportが予想していたよりも早い段階でアクセプトされたため、その内容を深めるという形で次のobservational studyも想定よりも早く投稿できる可能性が出てきた。現在、その準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
先にアクセプトされたcase reportはその名の通り、1例の報告である。次に投稿するobservational studyは、実際の臨床現場において、どのくらいそういった患者が存在し、その特徴は一体なんなのかなど、より確証に近い内容となる。今後は、それを如何に海外で認められるような形で報告できるかが課題であり、そのために研究対象の詳細な検証、フォローアップ、これまで報告されている論文の検索などを進めていき、最終的にその論文をアクセプトに持っていくことが目標となる。
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Causes of Carryover |
先に説明したように、今後の目標は、case reportで報告したような症例が実際どのくらい存在し、その特徴はどういったものなのかを可能な限り明確にすることにある。その論文の作成、投稿、アクセプトにかかる費用が科研費の使い道となる。具体的には、native check代、図画調整代、研究資料の購入費、オープンアクセス費などである。
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