2020 Fiscal Year Research-status Report
事象関連電位と瞳孔径変化から解明する発達障害におけるパニックの神経基盤
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20K07928
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
戸田 重誠 昭和大学, 医学部, 准教授 (00323006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 哲也 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 協力研究員 (00377459)
白間 綾 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, リサーチフェロー (50738127)
信川 創 千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (70724558)
住吉 太幹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 児童・予防精神医学研究部, 部長 (80286062)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 瞳孔径 / ADHD / 注意 / ノルアドレナリン / 作業記憶 / pupillometry |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画は、コロナ禍のため被験者の募集及び検査の実施に関して長期間にわたる停滞が生じ、計画通り進行できたとは言い難い状況である。そのため、本研究の予備検討として行ってきたADHDの瞳孔径に関する研究を解析した。成人の定型発達者とADHD患者に持続的注意要求性課題を施行時にはADHD群では定型発達群に比べ、有意に高いベースライン値と、課題によって誘導される一過性瞳孔径変化の抑制が起きていることを確認し、論文として発表した(Shiroma et al, Plos One, 2020)。この結果は、ノイズ情報が増えて青斑核の発火頻度が上昇し、ベースライン値が上昇すると、かえって課題依存性の一過性神経発火が減少するために注意要求性課題のパフォーマンスが低下するとの既存モデルに一致した。さらに、同研究の際に得られた基礎データから、瞳孔径を制御する交感神経と副交感神経の相互作用から生じる瞳孔径のリズミックな変動(=hippus)に注目し、特に瞳孔径の左右差が主にノルアドレナリン神経によって制御されることをモデルで示した(Nobukawa et al, Front Physiology, 2021)。加えて、瞳孔径ベースライン値、瞳孔径の一過性変化の複雑系の指標であるサンプルエントロピー、左右瞳孔径の非対称性を示すトランスファーエントロピーの3指標を同時に用いることで、機械学習的なADHD診断の精度が向上することを証明し、特許出願するとともに、論文投稿した(「精神神経活動推定装置」信川創、高橋哲也、白間 綾、戸田重誠 特許出願番号(特願;2020-168949);Nobukawa et al, submitted)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記のように、コロナ禍のため被験者の募集及び検査の実施に関して、長期間にわたる停滞が生じた。しかし、これまでの検討の結果をまとめることで、論文2報と特許出現1本を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で遅延している当初案の初年度計画を進め、遅れを取り戻す予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で研究施設での一般被験者の立ち入り、検査の実施ができなかったため。
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