2021 Fiscal Year Research-status Report
観察恐怖による情動行動変容とその神経回路基盤の解明
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20K07938
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 隆行 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (60374229)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 観察恐怖学習 / 幼若期ストレス / セロトニン |
Outline of Annual Research Achievements |
共感性とは「他者の感情を自己に置き換えて共有体験すること」であり、他者への理解を深め、円滑な対人関係の形成に重要な情動機能である。一方、負情動に対する過剰な共感の高まりによって、二次的な外傷性ストレスを誘発し得る側面も有する。本研究の目的は、幼若期における心身の過剰なストレスによって生じる情動機能障害モデルマウス(幼若期ストレスマウス)を用いて観察恐怖学習(負の共感様行動)とその変容に関わる中枢神経系の神経回路ネットワークとその基盤となる神経細胞の活動について解明することである。 本研究は以下の点について取り組む計画を立てている。 ①幼若期(生後3週齢)にストレスを受けたマウス(幼若期ストレスマウス)における観察恐怖学習(共感様行動)を評価する。 ②関連脳部位に逆行性トレーサーおよびアデノ随伴ウィルスベクターによる神経標識を行い、観察恐怖学習に関与する神経回路ネットワークについて解析する。 ③神経活動に依存的な遺伝子プロモーターにより観察恐怖に応答する神経細胞を機能的に標識し、その特徴と特性を形態解剖学的および電気生理学的に解析する。 ①について:昨年度、所属機関を異動に伴う情動行動評価系機器と実験ツールの構築が完了したため、観察恐怖学習および幼若期ストレスモデルマウスを作製した。また、成熟マウス(生後10週齢以上)の同モデルマウスの内側前頭前皮質の錐体細胞ならびに背側縫線核セロトニンニューロンからのパッチクランプ記録を行うための脳スライス作製方法を確立した。②と③について:神経活動依存的な遺伝子プロモーターのアデノ随伴ウィルスベクター(AAV)による神経細胞への遺伝子導入を行い、観察恐怖学習をおこなった。このマウスを用いてスライスパッチクランプ記録を行う方法を確立し、実験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経活動依存的な遺伝子プロモーターのアデノ随伴ウィルスベクターによる神経細胞導入のみならず、神経投射経路選択的な神経細胞標識もAAVベクターによって可能であることを確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
立ち上げたマウスの共感様情動行動の評価系について、これまでに得た観察恐怖学習の解析データの再現性を確認しつつ研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
購入するアデノ随伴ウイルスベクターの策定が遅れたため。
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