2020 Fiscal Year Research-status Report
月経関連の情動、認知機能変化の包括的理解目指した縦断的脳画像研究
Project/Area Number |
20K07944
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植野 司 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (70868273)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 月経前不快気分障害 / 月経前症候群 / 脳MRIデータ / 機能的MRIデータ / PMS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では月経関連の認知、情動の変化を明らかにすることを目的とし、エストロゲンの上昇期である卵胞期と低下する黄体期の2回にわたり認知機能、QOL、心理指標の変化と脳の機能的、構造的変化を磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging、MRI)を用いて評価し、 各心理指標と脳画像データの関連を縦断で評価することで、PMDD関連症状の程度と認知、情動、QOLの変化および脳活動・構造の変化とのそれそれの関連を明らかにし、症状のモニタリング、介入に向けたアプリケーション開発し生物学的性差による負担軽減への知見とすることを目指している。このため、心理検査や月経の程度を評価しながら月経タイミングに合わせた脳画像データを収集することが重要となる。 2020年度は、過去に収集されていた月経の黄体期・卵胞期の2回にわたる縦断的なMRI撮影を終了した過去のデータについて今回のデータ収集と連続で使用が可能かどうかチェックを行い、欠損に対しては追加収集を行い、解析が可能となるようデータクリーニングを行った。 COVID-19感染対策のため被験者のリクルートに支障をきたしていた時期はあったものの、2021年度の間に月経の卵胞期・黄体期に合わせたMRI撮影を縦断で実施し、2021年3月末までに追加で7件の撮像を行うことができた。 現在は縦断的に脳画像データを含めたデータがある被験者が24例となり、予備解析が可能なレベルまでデータ収集が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標とする50例の被験者の半数近くまでデータ収集が行われており、データチェックも進んでいる。一方で、新型コロナウイルス感染症への配慮から積極的なデータ収集が進みづらい一面もあり、今後データ収集が滞らないよう配慮を要する。 また、過去に収集したデータの中には、今回本研究で必要としている心理スケールの一部が実施されておらず、追加での調査が必要となる。各被験者に連絡を取り、追加でのデータ収集を依頼し、解析が可能なデータとする必要がある。 既に引き続きデータ収集へ協力を依頼しており、2021年度もデータ収集を継続することができるため、現時点でそろっているデータによる予備解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現時点で得られているデータをもとに予備解析を行う。月経前症候群および月経前不快気分障害の症状を評価するdaily record of severity of problems(DRSP)・Menstrual distress questionnaire(MDQ)といったスケールの指標を連続変数として縦断的な脳の構造変化およびDefault mode networkやsalience network、ventral/ dorsal attention netwrokといった大規模ネットワークとの関連について解析を行う。月経に直接関連した指標に限定せず、今回は記憶についても簡単な課題を実施しており、縦断的なネットワークの差だけではなく、体積や皮質厚といった構造的変化との関連も検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
引き続きデータ収集を行う必要があり、縦断での被験者のデータ50名分の取得を目指し、引き続きMRI撮像および心理検査の実施を継続する。 MRI撮像と心理検査を実施しつつ、更に月経の時期に応じてMRI撮像の調整を行う必要性があり、このために実験補助員の雇用が必要となる。 また、撮像に伴う利用料(1回の撮像につき20,000円)および研究協力への謝礼も必要であり、一人の被験者に縦断で2回実施するため、昨年度に十分データ収集ができなかった点も配慮し、次年度も謝礼375,000円、MRI使用料が550,000円程度見込まれる。 更にこうしたデータ収集実施の補助員の雇用、データ保存のストレージ費用、更に予備解析結果の報告のために学会参加も必要となる。こうした費用のために、次年度も引き続き使用額が必要である。
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