2020 Fiscal Year Research-status Report
ASDにおける感覚異常の脳基盤をボトムアップ・トップダウン処理の両側面から検討
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20K07953
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
太田 晴久 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (00439366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 龍一郎 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (00585838)
金井 智恵子 和洋女子大学, 人文学部, 准教授 (00611089)
板橋 貴史 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (70636943)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 感覚過敏 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)では感覚過敏および鈍麻といった感覚異常を高率に伴うことが知られており、60~90%に認められると報告されている。これらの感覚異常には一次感覚野を含む低次からのボトムアップ処理と注意などの高次のトップダウン処理の問題の双方の関与が指摘されている。しかし、それらを包括的に検討した神経画像研究は殆どなく、感覚異常の神経基盤は明らかになっていない。低次感覚処理では一次感覚野での神経応答の不安定さ(視覚・聴覚刺激に対する神経応答の変動性・馴化について、多数のvoxel が示す信号の空間的パターンを分析するマルチボクセル・パターン分析を用いた解析)、高次感覚処理では選択的注意の障害(異なる感覚モダリティー間での調整機能:視覚的課題施行による聴覚的な無関係刺激の調整機能が適切に働いているかについて)に着目し、その背景にある神経基盤についてfMRIを用いて検討する。また、fMRI課題を施行中の皮膚電気反応を測定するとともに、感覚異常に関する複数の自己記入式評価尺度のデータを収集する。それにより、ASDの感覚異常について脳神経科学的特徴、生理学的反応、臨床評価との関連を検討する。同一被験者に対して課題を施行することで、ASDの低次および高次感覚処理過程での特徴を個別に明らかにするだけでなく、ASDの感覚異常についてそれぞれの感覚処理段階での要因を双方含めた予測モデルの導出を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去に実施されている、本研究に関連する学術論文を詳細に検討した。研究分担者との議論を踏まえ、行動指標となり得る課題の選定、fMRI撮影中におこなう課題の選定などをおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
選定された課題を、健常発達者やASD者に対し実施する。fMRIに関しては、予備実験を経て、実際の撮影を行う。学会にも参加し、研究をさらに洗練されたものにしていく。
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Causes of Carryover |
研究進捗に遅れがあり、初年度は課題選定が中心となり、実際の撮影や解析は次年度に延期されている。初年度の支出の大きな割合を占めていた、脳画像解析のための高性能ワークステーション等の高額製品の購入が延期になった。また、COVID-19の影響により、海外を含めた学会出張を、感染状況が落ち着いた時期に延期をしている。
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