2023 Fiscal Year Annual Research Report
ASDにおける感覚異常の脳基盤をボトムアップ・トップダウン処理の両側面から検討
Project/Area Number |
20K07953
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
太田 晴久 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (00439366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 龍一郎 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00585838)
金井 智恵子 和洋女子大学, 人文学部, 准教授 (00611089)
板橋 貴史 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (70636943)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 感覚過敏 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)では感覚過敏および鈍麻といった感覚異常を高率に伴うことが知られており、60-90%に認められると報告されている。これらの感覚異常には一次感覚野を含む低次からのボトムアップ処理と注意などの高次のトップダウン処理の問題の双方の関与が指摘されている。感覚異常の背景には、脳機能を中心とした生物学的な背景が存在しているが、その詳細は明らかでなく、ASDの当事者の生活に与える影響も大きい。 本研究と関連して、ASDにおける感覚過敏と、ひきこもり状態などの臨床尺度との関連について解析し、英文原著(Front Psychiatry, 2023)として論文化した。成人の知的障害を伴わない男性ASD39名を、ひきこもりの標準化された半構造化面接によって、ひきこもり群(16名)と非ひきこもり群(23名)に弁別し、統計学的に比較をした。両群において、専門家の評定によるADOSを用いたASDの重症度、WAISによるIQの値は有意な違いはなかった。参加者に感覚過敏を含めた評価尺度に加えて、生物学的な背景をさぐるため血液採取による生化学的な評価を実施した。ASDのひきこもり群では不安や抑うつ状態の高さに加えて、感覚過敏が目立つこと、尿酸値が高いこと、アトピー性皮膚炎が目立つことが統計解析の結果から明らかとなった。このことは、ASDにおいて、引きこもり状態は、心理的な要因だけではなく、感覚過敏などの生物学的な側面とも関係していることが示唆された。
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