2021 Fiscal Year Research-status Report
Community-based cohort study for elderly to promote early diagnosis for demntia
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20K07957
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
前田 潔 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 特命教授 (80116251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相原 洋子 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 特命准教授 (90453414) [Withdrawn]
梶田 博之 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 助教 (00441197)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 早期受診促進 / 認知症リテラシー教育 / 高齢者コホート / 大規模団地 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年1月に公表した新オレンジプランでは、「認知症の早期発見・早期受診の重要性」を7つの柱の一つと位置付けている。しかしながら早期受診は進んではいないのが現状である。われわれは早期受診を進めるために認知症リテラシー(認知症に関する情報へのアクセス・理解、情報を活用する能力)教育が重要であると考えている。神戸市では2019年1月から認知症診断助成制度を開始し、市民対象に認知症検診を自己負担なしで行っており、多くの市民が認知症検診を受けている。この認知症の早期診断助成制度は、2022年3月までに48,000名以上の神戸市民が受診し、その25%が認知症疑いであり、精密検査を受けた約10,000名のうち約6割が認知症の診断を受けている。 認知症の早期受診のメリットは、①早期受診することでいわゆる「治療可能な認知症の発見」、②早期診断によって今後の認知症の進行にそなえる、③認知症の進行抑制に効果があるとされる治療を受けることができる、などがある。しかしわが国は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でも診断率が把握されていない国の一つと指摘されており(OECDレポート,2018年)、早期診断も進んでいない。 神戸市及び兵庫県明石市にまたがる明舞地区は60年前に開発されたわが国で最も古い住宅団地であり、住民の高齢化が進んでいる。われわれはこの明舞地区において高齢者コホートを構築し、2019年5月から認知症高齢者に関する調査研究および講演会、相談会などを続けている。 そのコホートの在宅高齢者を対象に、認知症リテラシー教育を主とした介入を行い、参加者のQOL、手段的日常生活動作(IADL)、認知機能、認知症検診受診、 認知症の発症、介護認定、生活習慣の改善をoutcomeに介入の効果を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度、2021年度は断続的にCOVID-19の感染拡大があったために、リテラシー教育講座の開催にも制限があった。 明舞地区に既にコホートを構築しているが、2019年度に申請者らが実施した調査項目などを整理し、一部は論文にしている(Int J Geriatr Psychiat 2021)。介入前後比較のため、認知症支援ニーズ、受診状況に関する調査項目に加え、2020年6月に認知症の知識、理解、認知症診断の有無、介入プログラム参加の意向について調査を行った。742人に送付して597人から回答を得た。 2021年2~3月、介入プログラムとして、認知症リテラシー教育を各参加者に3回(週1回、1回2時間)、計6回実施した。リテラシー教育講座の参加者は134人であった。リテラシー教育の中には認知症について、種類、原因、症状、経過、治療、予防、リスク要因などを講義した。134名のうち71名には同一内容のDVDを送付した。 2021年6月に明舞地区コーホートの597名の高齢者に認知症リテラシーの知識、抑うつ状態に関する質問票を送付した(第4回調査)。460名から回答を得た。この結果と第2回、3回調査の結果を合わせてCOVID-19の感染拡大と抑うつおよび認知機能との関連、リテラシー教育の効果を解析している。予定していた対面によるブースター教育講座はCOVID-19の感染拡大のため開催できなかった。また2021年12月にリテラシー講座に関するアンケートおよびリテラシー尺度の開発のための調査票を、介入者144名に送付し、96名から回答を得た。現在、結果を解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目の調査を行う予定であるが、COVID-19の感染拡大によってはかなり制限されると考えられる。ブースター教育講座を7~8月に開催する予定である。またその効果を秋から冬ごろに評価する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度、2021年度はCOVID-19の感染拡大のために、認知症リテラシー教育講座の開催に制限があった。また学会、研究会の開催、参加にも制限が生じた。そのために研究費の次年度使用が生じた。2021年度もCOVID-19パンデミックは続いており、教育講座開催に支障が出た。 2022年度に繰り越した研究費は2022年度の教育講座開催などで使用する予定であるが、COVID-19の感染状況に影響を受けると考えられる。教育講座の資料を小冊子にして、関係機関に配布することを検討している。
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Research Products
(7 results)