2021 Fiscal Year Research-status Report
精神病症状を伴う双極性障害と統合失調症の神経ネットワーク~白質障害の比較解析~
Project/Area Number |
20K07966
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
城山 隆 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (00252354)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正幸 三重大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70219278)
長谷川 智規 三重大学, 医学部附属病院, 技術補佐員 (40799954)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 双極性障害 / 統合失調症 / 白質 / 前頭葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では精神病症状を伴う双極性障害(PBD)と統合失調症(SCZ)の白質障害の差異や類似性を解析することが主な目的であるが、現時点で登録されており画像クオリティが解析可能であることを確認できた6例のSCZと健常群22例について試験的にTBSSで解析を行った。サンプル数が少なく統計的なパワーは低いことを反映して、SCZでは健常群に比較してFA値やMD値、RD値では統計的に有意差がみられなかった。しかしAD値の有意な増加のみられた白質領域がある。SCZ におけるAD値の増加は大規模な先行研究でも報告されており、脳弓(Kellyら2017)、脳弓と鈎状束(Koshiyamaら2020)が報告されている。AD値の減少は軸索障害を示唆するとされ、精神疾患の白質障害の研究の多くはAD値低下を報告しているが、AD値増加の所見の意義について文献的な知見を集積して考察を進めている。大規模研究やメタ解析(Ellison-Wrightら2009)ではSCZでは健常群に比して左前頭葉深部白質、左側頭葉深部白質などの障害がほぼ一致した所見となっていること、genu of corpus callosum および anterior corona radiataでは、双極性障害における大規模研究でもこれらの白質領域の障害が報告されており、我々の過去の研究ではPBDにおいても健常者と比較して有意な所見がみられたことなどから、これらの領域における白質障害のPBDとSCZの差異や類似性に着目して解析している。前述のTBSSによる試験的な解析結果に基づくTBSS-ROIによるROI設定の方法や、これらの白質領域のfiber tractographyの方法も検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はSCZの被験者の登録が8名に増え、拡散テンソル画像も撮像済である。PBDのサンプル数もTBSSを施行しうる数を確保できている。しかし、画像のクオリティに課題があり、なお登録者数を増やす必要がある。PBDとSCZ、および健常人と比較した認知機能の特性に関して、先行研究を調べてTBSS-ROIで解析すべき白質領域を絞り込む作業を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き登録を進める。認知機能と白質神経束の微細構造の障害について、統合失調症と気分障害の双方について先行研究を調べ、テンソル画像解析の方法上の改善についても検討する。
|
Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大に伴い、学会参加や情報収集のための他施設訪問がおこなえなかった。感染予防のため診療に影響が及び、新規の被験者登録が予定を下回った。次年度に論文・学会発表経費、被験者・協力者への謝金、および統計ソフトなどに使用予定である。
|