2022 Fiscal Year Research-status Report
精神病症状を伴う双極性障害と統合失調症の神経ネットワーク~白質障害の比較解析~
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20K07966
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
城山 隆 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (00252354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正幸 三重大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70219278)
長谷川 智規 三重大学, 医学部附属病院, 技術補佐員 (40799954)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 双極性障害 / 統合失調症 / 白質 / 前頭葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
画像クオリティが解析可能なレベルであることを確認できた統合失調症(SCZ)の登録症例数が6例から8例に増え、TBSSを用いて健常群 (HC) 22例との2群比較解析を行った。昨年のSCZ6例同様にサンプル数が少なく統計的なパワーは低いことを反映して、SCZではHCに比較してFA値やMD値、RD値では統計的に有意差がみられなかったが、6例での解析よりも8例での解析の方が、AD値の有意な増加のみられた白質領域が拡大していた。精神病症状を伴う双極性障害(PBD)8例とHC22例のTBSSを用いた2群比較も行い、HCに比してAD値の有意に増加している白質領域が見られた。SCZとPBD はHCとの比較結果では共にAD値増加領域があるが、その分布領域を比較解析中である。 また、解析方法上の課題として、近年の報告ではTBSSの白質registrationの正確性について論議があり(Bach, Mら2014)、白質の群間比較の結果に影響するため、対応策として提唱されているregistrationアルゴリズムであるDiffusion Tensor Imaging Tool Kit (DTI-TK) (Zhang,Hら2006)がある。我々が以前に報告したPBD,精神病症状を伴わない双極性障害(NPBD), HCの3群比較においてDTI-TK処理を施したTBSSと通常のTBSSで結果を比較した。有意差を示した領域はほぼ同じであり、有意差の水準に両者の差が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統合失調症(SCZ)、精神病症状を伴う双極性障害(PBD)、健常群 (HC)ともに、解析が可能なレベルの画像クオリティを確認できた登録症例数は、統計的パワーは小さいものの、TBSSを用いた解析の可能なサンプル数が確保できている。SCZとHCの2群比較およびPBDとHCの2群比較の結果が得られており、それぞれの解析結果を考慮して、3群比較の解析方法を検討している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
TBSSを用いてSCZ,PBD,HCの3群の直接比較解析をおこなうにあたり、TBSSの3群比較はコントラストが6となり多重比較補正のための有意水準はP=0.05/6=0.008となるため有意な所見が出にくい事が予想される。SCZとHC, PBDとHCの2群比較結果ではSCZとPBD共にHCに比較してAD値増加の白質領域があるが、その分布の比較解析の結果を参考に、 fiber tractographyやROI解析を検討する。また、上記DTI-TK処理を施したTBSSを用いて、より詳細なテンソル情報を用いた解析でデータの正確性を追求していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大に伴い、被験者登録が少数にとどまり、学会参加や情報収集のための他施設訪問がおこなえなかった。被験者登録の遅れに伴い論文作成が遅れ、論文発表や学会参加が行えなかった。次年度に論文・学会発表経費および解析ソフトなどに使用予定である。
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