2020 Fiscal Year Research-status Report
プロテアソーム・トレランスを基盤とした認知症治療薬開発の研究
Project/Area Number |
20K07969
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阪上 由香子 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 助教 (90817412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 喬 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 教授 (10273632)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プロテアソーム / ユビキチン / 神経変性疾患 / エポキソマイシン / ラクタシスチン / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
ニューロン内の異常なタンパク質の凝集は、ユビキチン-プロテアソームシステム(UPS)の機能を損ない、さまざまな神経変性疾患を引き起こす可能性がある。 従って、もしプロテアソーム機能を活性化できる戦略が構築できれば、神経変性疾患の新しい治療法につながる可能性がある。そこで、低用量のプロテアソーム阻害剤による前処理が、プロテアソーム活性を増加させ、その後の高用量のプロテアソーム阻害剤治療に抵抗を示すような「プロテアソーム耐性」という現象が存在するかを本プロジェクトは検討する。 プロテアソーム機能を活性化する新しい手段を見つけるために、プロテアソーム活性を加速する現象に注目した。細胞をプロテアソーム阻害剤で処理すると、細胞死は用量依存的に起こる。しかし、細胞死をほとんど引き起こさない低用量のプロテアソーム阻害剤を8時間前処理すると、前処理なしの場合よりも高い生存率が示された。 すなわち、神経芽細胞を20nMのエポキソマイシンあるいは500nMのラクタシスチンで24時間前処理しておくと、100-1000nMエポキソマイシンや500-1000nMラクタシスチンに対して未処理細胞よりLDHアッセイよる有意な生存率上昇が確認された。GFPuはユビキチン依存性のプロテアソーム基質であり、生細胞内のUPS機能をモニターでき、プロテアソーム阻害剤は一部のGFPuを未処理のままにする。低用量のエポキソマイシンとラクタシスチンによる前処理は、高用量のプロテアソーム阻害剤にもかかわらず、GFPuの分解を促進した。これらのデータは、低用量のプロテアソーム阻害剤による前処理が、プロテアソームの阻害に対する耐性を細胞に提供することを示唆している。この現象を「プロテアソーム耐性」と呼ぶこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、「プロテアソーム耐性」を獲得した状況での合成基質Suc-LLVY-amc (Succinil Succinyl -Leu-Leu-Val-Tyr-7-amino- 4-methylcoumarin) (Bachem, Bubendorf, Switzerland) and, Z-LLE-amc (Z-Leu-Leu-Glu-7- amino- 4-methylcoumarin) and Boc-LRR-amc (Boc-Leu-Arg-Arg-7- amino- 4-methylcoumarin)を用いたプロテアソーム活性測定を予定していたが、コロナ禍における緊急事態宣言等で実験が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
見出された「プロテアソーム耐性」現象について、(1)プロテアソームの如何なる変化によるものか?、(2)そのプロテアソーム変化をもたらす遺伝子発現の変化によるものかを検討する。さらに、(3)見出された遺伝子変化の神経変性疾患治療への応用を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大による非常事態宣言などで実験が遅延したため。
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