2022 Fiscal Year Research-status Report
グリア型グルタミン酸トランスポーター発現減少に起因するうつ症状の神経基盤の解明
Project/Area Number |
20K07972
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
高橋 弘 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (20415582)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
由利 和也 高知大学, 医学部, 特任教授 (10220534)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ストレス / グルタミン酸作動性ニューロン / 神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病は、様々な症状が複雑に絡み合っている病気であり、病態を正確に捉えることが困難である。また、うつ病は、慢性ストレスにより神経の可塑的変化(シナプス減少など)を引き起こし、通常の神経活動の回路と異なる可能性がある。本研究は、この神経可塑的変化の要因にグリア型グルタミン酸トランスポーターの発現減少が関与するかを明らかにすることを目的としている。本研究成果は、うつ病の病態解明に寄与することが期待される。 本年度は、慢性ストレス後の神経活動について興奮性ニューロンと非興奮性ニューロンに分けて検討した。具体的には、慢性社会的敗北うつ病モデルマウスを作成し、神経活動の指標であるc-fosとグルタミン酸作動性ニューロンのマーカーであるGlsについて多重染色を行った。各脳領域で認められるc-fos陽性細胞を興奮性ニューロンと非興奮性ニューロンに分類して解析した。その結果、Anterior cingulate area, Nucleus accumbens, Caudoputamen, Dorsal peduncular area, Gustatory area, Infralimbic area, Motor area, Olfactory tubercle, Prelimbic area, Taenia tectaなどの領域で、慢性ストレスによる興奮性ニューロンの神経活動の変化が認められた。また、非興奮性ニューロンの神経活動が、興奮性ニューロンと同様の挙動示す・逆の挙動を示す・ストレスで影響を受けないなど領域ごとで特徴が認められた。さらに皮質領域の各層で異なるc-fos発現パターンが観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性ストレス負荷動物の神経活動についてグルタミン酸作動性ニューロンと非グルタミン酸作動性ニューロンに分けて解析を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
慢性ストレス負荷の神経活動とグルタミン酸トランスポーター発現の空間的関係を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
実験結果の精度を上げるため、補助期間を延長した。これに伴い次年度使用額を確保した。詳細な解析・学会発表に使用する計画である。
|