2020 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of a novel amylodotic biomarker for alzheimer disease
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20K07975
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
相馬 仁 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (70226702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小海 康夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20178239)
水江 由佳 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20464480)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アミロイド / Congo Red / MFG-E8 / 吸収スペクトル解析 / 長波長シフト / 差スペクトル / 電顕ネガティブ染色法 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病(AD)ではアミロイド(老人斑)形成や神経原線維変化に伴う神経細胞の著しい脱落が特徴的である。アミロイドの形成に関してAβペプチドやTauタンパク質が注目されてきた。しかし、アミロイド形成を惹起する環境がある本病態では、他にもアミロイドを形成するタンパク質が存在することが考えられる。我々はこれまで、分泌タンパク質Milk Fat Globular Protein EGF-8(MFG-E8)がADモデル動物(マウス)老人斑の中心部分に局在することを見出し、MFG-E8が新規のアミロイド性タンパク質である可能性を考えた。アミロイド存在の証明方法として、Congo Redによる組織染色性に加え、アミロイドを形成したタンパク質にCongo Redが直接結合する結果、Congo Red吸収ピークの長波長側シフトで証明できる。吸収スペクトルピークシフトはより簡便で感度高く測定できる、差スペクトル法によって解析した。最初に、Aβペプチド(Aβ1-40とAβ1-42)溶液を用いて、アミロイド形成の経時変化はCongo Red吸収差スペクトルピークの強度で示すことができ、電顕ネガティブ染色像と相関した。MFG-E8を用いた研究でも同様に、哺乳類細胞から分泌したリコンビナントMFG-E8は、時間の経過とともにCongo Red光吸収の長波長側へのシフトが認められ、MFG-E8はアミロイド性の性質が示された。一方、大腸菌で発現したMFG-E8は、インクルージョンボディに取り込まれるため、尿素を用いた変性のステップを加える必要がある。この過程を経て再生したMFG-E8は、可溶化していてもCongo Redによるピークシフトが最初から起こっており、変性を経る過程でアミロイドになることが示された。これらのことから、MFG-E8は本来、アミロイド性のタンパク質であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施した研究は、ほぼ予定のことを終え、仮説が証明された。しかし、更に掘り下げた検討が必要になり、次年度に計画したことと合わせて実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は計画したことを終え、令和3年度から次のステップに移行する。 アミロイド性MFG-E8を認識(立体構造を認識)する特異抗体を調製し、脳内老人斑(アルツハイマー病動物モデル)および、アルツハイマー病患者血漿に存在するMFG-E8のアミロイド性を定量的に示す計画に進む。またアミロイド形成に伴うCongo Redの吸収ピークシフトを観察する分光学的測定法を用いて、アミロイド性を有する血漿MFG-E8の定量化法を試みる。
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