2020 Fiscal Year Research-status Report
ストレス応答の異常な持続的亢進をもたらす脳内機序の解明
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20K07982
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
山口 奈緒子 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50380324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 尚志郎 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40203989)
呉 ユー秋 愛知医科大学, 医学部, 助教 (40717154)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ストレス / コルチコトロピン放出因子 / CRF / 交感神経系 / 室傍核 |
Outline of Annual Research Achievements |
過剰かつ持続するストレス応答は、うつ病などのストレス関連疾患の発症の契機となりうる。私たちはストレス関連ペプチドのラット脳内投与モデルやストレス負荷モデルを用いて、交感神経系活性化の脳内調節機構を解析してきた。その過程で、(1) コルチコトロピン放出因子(CRF)による交感神経反応が長時間持続すること、(2) CRF が脳内で神経炎症メディエーターの発現を持続的に誘導すること、(3)これらメディエーターが実際のストレス条件下でも作用することを見出した。以上から、CRFを起点とする経路がストレス応答の異常な持続に関与する可能性が推測されるが、その詳細は未だ不明である。そこで本研究では、うつ病モデルラットを含めた複数のストレスモデルを用いて、CRF関連経路とその調節因子がストレス応答の異常持続性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 本年度は、成体雄ラットを用いて麻酔下で脳室内投与もしくはマイクロダイアリシスのためのガイドカニューレをそれぞれ頭蓋骨に固定し、急性および慢性のストレス負荷実験を行った。急性および慢性拘束ストレス負荷により、血中ノルアドレナリンおよびアドレナリンレベルはともに増加した。さらに、視床下部室傍核をターゲットとしたマイクロダイアリシス実験を行い、経時的に透析液を採取したところ、急性ストレス負荷により透析液中のプロスタグランジンE2およびトロンボキサンB2が有意に増加することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
病気療養のため当該年度後半に予定していた実験を行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の前半に、前年度後半に予定していた単一慢性拘束ストレス実験を行う。交感神経系活動の指標として血中カテコールアミンレベルを、また、HPA系活動の指標として血中コルチコステロンレベルを測定する。視床下部室傍核でのストレス関連因子の動態変化を明らかにするため、同部位を対象にマイクロダイアリシスを行う。ストレス負荷ラットから経時的にサンプルを採取し、質量分析法により、室傍核透析液中の各種神経伝達物質、神経炎症メディエーター、ストレス関連分子を定量的に解析する。また、ストレス負荷後の視床下部室傍核の組織を採取し、発現動態の変化を、タンパクレベルおよびmRNAレベルで解析する。令和3年度の前半は、慢性予測不能ストレスを負荷した群を作製し、上記と同様の実験を行い、ストレス負荷の違いによる比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
病気療養により、当該年度後半に予定していた実験を行えなかったため。
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