2021 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of normal cell fraction in the liver triggering radiatino inudced liver disease
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20K07994
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 実 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (00319724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (30274434)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / ホウ素中性子捕捉照射 / 放射線誘発肝障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肝臓の正常細胞分画をターゲットして選択的に重粒子線照射が可能な、ホウ素中性子捕捉照射(Boron neutron capture radiation, 以下BNCR)を利用して、肝腫瘍に対する放射線治療の有害事象で問題となる放射線誘発肝障害の引き金となる正常細胞分画を探ることを目的としている。 この目的のために、正常細胞分画に選択的に集積するホウ素化合物としてヒト血清アルブミンを担体としてホウ素クラスターと肝臓の正常細胞分画に選択的に結合する糖鎖を結合させた2種類のホウ素化合物を作成した。肝実質細胞を認識する糖鎖を結合させたホウ素クラスター‐アルブミン(以下、肝細胞指向‐ホウ素‐アルブミン)と非肝実質細胞を認識する糖鎖を結合させたホウ素クラスター‐アルブミン(以下、非実質細胞指向‐ホウ素‐アルブミン)を使用した。 Balb/cマウスを使用し、上記2つの化合物を尾静脈から投与し、1.5時間後に犠牲死させ血液と肝臓を摘出した。血液、肝臓のホウ素濃度をinductively coupled plasma atomic emis-sion spectroscopy(ICP-AES)を使用して測定した。また、肝臓内の2つの化合物の分布を解析するためにα‐オートラジオグラフィの手法を用いて検討した。 ICP-AESによるホウ素濃度の測定結果は、両化合物投与後の血中ホウ素濃度は、ほぼ糖濃度を示したが、肝臓のホウ素濃度は、肝細胞指向‐ホウ素‐アルブミン投与群が、非実質細胞指向‐ホウ素‐アルブミン群より高値を示し、両化合物の肝実質内の分布の違いを示唆する結果となった。一方、α‐オートラジオグラフィでの検討では、視覚的には両化合物に明らかな差異は確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、肝細胞指向‐ホウ素‐アルブミン投与、非実質細胞指向‐ホウ素‐アルブミン投与のマウス照射実験まで実施予定であったが、そこまでには至らなかった。その理由として、実施した薬剤投与1.5時間後のタイミングでの両化合物での、肝実質内の選択的分布が確認できなかったことと、想定していた値より、肝臓/血液のホウ素濃度比が低かったことがある。この2つの問題点を解決後にマウス照射実験を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
肝細胞指向‐ホウ素‐アルブミン投与、非実質細胞指向‐ホウ素‐アルブミン投与後の、血液、肝臓のホウ素濃度、化合物分布の検討を3時間、6時間後を検討し、適切なマウス照射タイミングを決定し、マウス照射実験を実施する。 照射後の血液検査で、急性期の肝損傷の評価、6か月の肝臓の線維化の程度を病理組織学的に検討する。
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Causes of Carryover |
実験を進めていった結果、当初予定していたマウスを使用した照射実験には至らず、そのため次年度に持ち越す使用額が生じた
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