2020 Fiscal Year Research-status Report
CFDと人工知能を用いた門脈圧亢進症の門脈血流評価と異常探知法の開発
Project/Area Number |
20K08024
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
馬場 康貴 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00315409)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟井 和夫 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (30294573)
平原 大助 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 研究技術員 (70837880)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | CFDモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
肝硬変症は組織学的には慢性肝障害を契機に類洞周囲の肝線維化の進行から、門脈圧亢進症を引き起こす。門脈圧亢進症が右心系への還流の際に側副血行路を形成し食道静脈瘤等を形成し破裂出血を発症したり、その他に腹水、肝性脳症、門脈血栓を併発したりする。過去の報告の中でComputational Fluid Dynamics (CFD)を用いた非侵襲的門脈圧測定と治療効果あるいは経過予測について検討された報告はない。目的は申請者が開発してきたCFDモデルの手法を応用して、コンピュータ上で門脈圧亢進症の血行動態のモデル(仮想門亢症モデル)を作成する。門脈血流を構成する上腸間膜静脈、脾静脈から肝内門脈血流分布を検証し、門脈血栓の発症予測、静脈瘤の仮想治療前後変化、仮想脾摘の治療効果予測などのシミュレーションを行う。これを実際の、門亢症の患者の臨床的、画像的所見と対比させモデルの妥当性について検証を行う。令和2年は門脈圧亢進症における血行動態モデルを作成することにある。過去に当院にて行われた門脈圧亢進症の患者のCT,MRI,血管造影の検査データをもとにデータベース化を行う。併せて、患者情報として、Performance status; PS, 年齢、性、背景肝(ウイルス、アルコール、脂肪肝炎)、肝機能、Child-Pugh score: CPS ,腎機能、凝固系等をデータベースに盛り込み、上記のCFD modelとのデータベース統合化に盛り込んでいるところである。本データベースを作成するにあたってSiemens/CD adapco社のSTAR CCM+ソフトを用いて画像解析とデータベース化及び人工知能の異常探知解析を行う必要があるが、適切な門脈系の形態抽出とプログラム作成が重要で難解であり、この点を克服しpipelineが作成できれば以降の前向きの検証まで進むことが可能であると予想している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は門亢症症例における治療内容及び患者情報の情報収集(データベース)が主な内容であったが、肝硬変による門亢症がやや少なかったので現在は当院に多い悪性肝胆膵腫瘍の門脈狭窄による門亢症単を含めて症例を追加する必要があるので。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目である令和3年度はCFDモデルを応用し、門脈圧亢進症における門脈の血行動態のシミュレーションを行い、仮想門脈圧亢進症モデルを基に、過去の門脈圧亢進症の治療を行った患者において仮想血管内における血流の挙動をシミュレーションする。①血管内での上腸間膜静脈と脾静脈血流分布の評価、②血流うっ滞の分布あるいはwall shear stress(WSS)の不均一さの分布、③門脈圧格差に着目して仮想門脈圧測定法を確立する。仮想での静脈瘤塞栓、門脈体循環短絡の塞栓、脾臓摘出をシュミレーション上で行い、上記の三項目の評価を行い、実際の治療結果と後方視的に比較対比する。加えてCFDの画像解析において人工知能(再帰型ニューラルネットワーク:Recurrent Neural Network (RNN))を用いて、従来視覚的に行ってきたCFDの画像解析の代わりの評価を行い、客観的に予後予測を行う事で汎用性のあるモデル作りを検討する。前記のように悪性門脈狭窄による門脈圧亢進症を含めたモデルつくりを行う予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ感染拡大に伴う学会および人的交流の場がなくなってしまったことで生じた未使用額です。未使用額を令和3年度予算と併せて、CFDレンタル料を中心に使用しCFD解析と人工知能モデル作成を行う予定でいます。
|