2021 Fiscal Year Research-status Report
超多列化CTを駆使した低侵襲・低被曝心筋血流定量評価法の開発と応用
Project/Area Number |
20K08027
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
城戸 輝仁 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (50403837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上谷 晃由 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師(病院教員) (00423450) [Withdrawn]
松田 卓也 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (10837123)
城戸 倫之 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (20600810)
倉田 聖 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), 循環器内科, 医長 (40423438)
田邊 裕貴 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (70836189)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CT Perfusion / 虚血性心疾患 / Myocaridial Blood Flow |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に撮影と画像再構成を行った30例において検証を実施した。得られた心位相画像を心電図上のR波間隔(RR間隔)を用いて10%刻みのデータで作成し、心筋における濃度時間曲線を作成した。従来の仮説では、拡張中期(RR間隔70%)を主体に心筋内微小循環血流が生じ、心筋内造影濃度上昇が最も大きく観測されることが期待されたが、実測データでは想定より早い心位相で心筋内血流充足が生じている可能性が示された。これは従来の表在冠動脈を中心とした侵襲的検査法では得られていない現象であり、非侵襲的に心筋内血流を観察できる超多列化CTのアドバンテージを示していることが期待される。心筋内血流はその絶対値と共に壁運動による心筋内圧の変化、相対的volume変動が生じることで、表在冠動脈と心筋内微小循環血流にズレが生じていることが予想され、血流情報と心筋形態情報を同時に観察できるCTにより新たな循環生理現象を示していると考えられた。 このことから、本研究で当初期待していた拡張中期(RR間隔70-90%)だけでなく、新たに収縮後期を加えた位相(RR間隔40-90%)での解析を追加することとした。そのため、解析位相画像データ量が従来の検討に比して2-3倍に増やす必要が生じた。そこで、解析機器等の環境を増設、心拍動による画質低下に対応できるエコー機器の導入、自動解析システム(心筋追従プログラム)の改修、解析精度向上に向けた画像再構成技術の導入などを実施する必要性が生じた。 一方、今回得られた知見は、従来推定されていた循環生理現象より複雑なメカニズムを有しており、近年問題とされている非狭窄性冠動脈疾患(INOCA)の原因究明にも結びつく可能性のある発見といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度から実施している、撮影と画像再構成は順当に継続できているが、解析対象となるデータ量が当初の予定より2-3倍増し、その解析手法の再構築が必要となった。特に増えたデータ領域には心筋拍動の大きい心位相が含まれていることから、解析アルゴリズムの大規模改修が必要となっている。 しかし、得られた知見からは、当初予定していた表在冠動脈病変の検出だけでなく、微小循環生理現象のメカニズム解明に結びつく発見も期待されており、より詳細な検討を追加する予定である。 解析手法の開発においては、心筋自動追従アルゴリズムの作成やノイズ除去に必要なフィルター処理技術も含まれており、産学連携を進める中で知財獲得に結びつけることも検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、症例の蓄積と並行して、増大した解析データに対応できる解析プログラム開発と検証を進めている。解析精度の向上には基盤技術として、心筋トラッキング精度の向上が必要であり、既存システムの応用など様々な手法を検証している。 得られた技術における知財獲得の可否についても検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
想定されていた解析データ量より、対象データ量が増加したことにより、解析アルゴリズムの改修とデータ管理環境の整備が必要となった。コロナ渦によるソフト開発研究者とのミーティングが度々ずれ込んでおり、必要とする解析環境の再構築に時間を要したことで、環境整備に必要な一部予算の次年度使用が発生した。 しかし、得られる知見はこれまでの報告と異なる現象を捉えてる可能性もあり、新たな評価アルゴリズムの発見に繋がる可能性を考えて、新たな解析手法の開発を同時に試みる。
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Research Products
(2 results)