2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of nuclear medicine imaging technology in the diagnosis of primary aldosteronism
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20K08061
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
木村 寛之 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (50437240)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 原発性アルドステロン症 / 核医学検査法 / CYP11B2 |
Outline of Annual Research Achievements |
プローブの設計・合成:アルドステロンの合成に関与する酵素阻害剤の中で、CYP11B2に高い選択性を示す化合物をインシリコで抽出し、SPECT、PETプローブを設計した。母体となる化合物を実際合成し、CYP11B1とCYP11B2に対する阻害活性を評価したところ、CYP11B1(3.6 uM)、CYP11B2(2.7 nM)とCYP11B2に対して特異性の高い化合物であることが分かった。そこで、この化合物を母体としたSPECTプローブの合成から開始したところ、5工程で目的の化合物1を得ることが出来た。さらに、標識化を検討したところ、放射化学的収率は40.3%、放射化学的純度は99%で125I-化合物1を得ることが出来た。 モデル動物を用いた動態試験:正常マウスに放射性標識した化合物1を5%エタノール生理食塩水で997 kBq/2.7 mLになるように調製した。これをマウス1匹あたり37 kBq/100 uLずつ尾静脈投与し、5、15、30、60、120分後(n = 4)に断頭屠殺し、副腎、膵臓、血液、心臓、肺、胃、小腸、大腸、肝臓、脾臓、腎臓、甲状腺を摘出した。その後、各臓器における放射能量をガンマカウンターで測定し、各臓器の単位重量当たりのRIの集積量(% injection dose/g)を算出した。その結果、副腎への高い集積が確認された。 患者のアルドステロン産生腺腫組織切片を用いた有効性の評価:アルドステロン産生腺腫組織切片と正常副腎組織切片を用いて、ヒト組織での開発した化合物の特異性を評価するために、オートラジオグラフィ(ARG)法と免疫組織染色法を検討した。ARGの結果から、腫瘍切片内でRIの集積に局在が見られた。CYP11B2を反映した集積なのか、免疫組織染色法を用いて評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で一定期間研究活動の停止を余儀なくされ、準備をしていた動物や細胞などを一旦全て処分した。当初インビトロの評価系に用いていたCYP11B1/B2を強制発現させた細胞が使用できなくなったため、新たに別の評価系の構築を進めており、それに予想外の時間を費やしている。また、患者のアルドステロン産生腺腫組織切片を用いた有効性の評価において、CYP11B2の免疫組織染色に用いる抗体の選択が上手く行っておらず、抗体のセレクションに時間と予算を費やしている。研究活動以外のことではあるが、2020年度はCOVID-19の影響で急遽オンライン講義の対応に追われ、実験を進めるための時間が物理的に無くなってしまった。そのため、2020年度の予算は半分未執行のまま、2021年度に繰り越した。今年度も、緊急事態宣言下で研究活動に制限がかかっており、さらに研究が遅延することを危惧している。ただ、この様な状況下でも可能な限り研究は進めており、候補となる化合物を見出すことに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
PET・SPECTプローブの開発:2020年度はSPECTプローブの開発を優先して進めたが、2021年度はPETプローブの開発を進める。化合物1のPETプローブの標識前駆体の合成は少量では出来ているので、大量合成後標識化の検討を進める。また、化合物1の誘導体の開発も進めており複数の候補化合物の合成を目指す。 健常動物、モデル動物を用いた動態試験:副腎への集積性、血液副腎比、副腎肝臓比、副腎腎臓比を指標にプローブの選別を行う。投与後副腎肝臓比は2倍以上、その他の周辺臓器(筋肉・腎臓・膵臓・脾臓など)比は5倍以上を目指す。また、標的部位に結合する既知の化合物あるいはプローブの非標識体を投与してインビボブロッキング実験も行い、副腎に集積した放射能の標的特異性について検討する。 小動物イメージング装置を用いた評価:PET、SPECTイメージング用のプローブとして、臓器集積の特異性、非特異的集積の低減、高い比放射能が求められる。本検討では、小動物イメージング装置を用いて正常マウス、ラットの副腎が描出できること、さらにその集積を定量解析できることを確認する。モデル動物が確立できれば、モデル動物を用いた撮像も検討する。 標識前駆体の大量合成法の確立:標識前駆体として、500mg~1gを合成する。合成コストを考慮した合成法を検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で半年間研究活動の停止を余儀なくされ、計画通り研究を進めることが困難であった。そこで、2020年度はコンピュータを用いた薬剤設計を中心に進めたため、消耗品などの購入はあまりなかった。2020年度繰越した予算に関しては、2021年度研究上必要な備品があるのでその購入に充てて、残りは化合物合成用の化学薬品、合成・標識を行うためのガラス器具、放射性同位元素、動物、細胞培養用のプラスチック器具、化合物精製用のHPLCカラムなどの消耗品として使用する予定である。特に2021年度は動物を用いた薬物動態試験やイメージング研究が中心となるため、予定通り予算を執行できると考えている。
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Research Products
(4 results)