2021 Fiscal Year Research-status Report
High signal intensity on diffusion weighted images reflects acute phase of deep vein thrombus
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20K08085
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
黒岩 靖淳 宮崎大学, 医学部, 研究員 (20747232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 篤 宮崎大学, 医学部, 准教授 (90372797)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 深部静脈血栓 / 拡散強調画像 / 赤血球 / MRI / 病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.静脈血栓塞栓症は下肢や骨盤内の深部静脈に形成された血栓が遊離し,肺動脈を閉塞することで肺血栓塞栓症をきたす重篤な疾患である.近年の臨床研究において,静脈血栓塞栓症のおよそ半数が無症候性で,予防や治療で投与される抗凝固薬で年数%の頻度で重篤な出血を誘発すること,などが報告されており,塞栓リスクの高い血栓の検出や抗凝固薬の効果予測となる質的画像診断法の確立は重要な課題となっている. MRI (Magnetic resonance imaging) の拡散強調画像とT1強調画像との組み合わせで深部静脈血栓を描出しうることが報告されている.しかし深部静脈血栓症の 診断における拡散強調画像の有用性は確立されていない.本研究では,静脈血栓塞栓症の臨床画像,静脈血栓のモデル動物,血液の生体外MRIを用いて,静脈 血栓塞栓症の質的診断に繋がる拡散強調画像所見とみかけの拡散係数を明らかにすることを目的としている.臨床画像および静脈血栓のモデル動物の検討から,拡散強調画像は深部静脈血栓を明瞭なコントラストで描出することが可能で,経時的な信号値およびADC値の変化を捉えた.病理組織学的な評価において血栓は経時的な器質化像を呈し,血栓の赤血球成分は,拡散強調画像の信号値と正の相関,ADC値と負の相関を示した.赤血球成分が、拡散制限を生じる血栓成分であることが示唆された 2.門脈血栓症で,その検出や質的な評価をする目的でMRI撮像をした.その血栓は拡散強調画像で不均一な高信号を呈し,摘出された血栓は組織学的に器質化反応に乏しく新鮮血栓主体と考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.MRI装置を用いた臨床画像および静脈血栓のモデル動物の検討から,拡散強調画像は深部静脈血栓を明瞭なコントラストで描出することが可能で,経時的な信号値およびADC値の変化を捉えた.病理組織学的な評価において血栓は経時的な器質化像を呈し,血栓の赤血球成分は,拡散強調画像の信号値と正の相関,ADC値と負の相関を明らかにした. 体外静脈血の拡散強調画像の検討において,静脈血の遠心分離を行い,多血小板血漿,全血および多赤血球血液の成分チューブに入れて凝固させて拡散強調画像を撮像した.その結果,赤血球の濃度依存性にADC値が低値を示す傾向を明らかにした.拡散強調画像は静脈血栓の時相(急性期/赤血球成分)を反映することが可能で,深部静脈血栓の診断・治療に有用な情報を提供しうることが示唆された. 2.門脈血栓の質的診断のために,DWI,T2強調画像(T2W)及びT1強調画像 (T1W)を撮像し,血栓内部の信号強度及び見かけの拡散係数(ADC)を測定した. MRIの横断及び冠状断像で,門脈本幹から上腸管膜静脈内に及ぶ大きな血栓を検出した.その血栓はT2Wで不均一にやや高信号,T1Wで低から等信号を呈した.DWIは血栓部で不均一な高信号を呈し,門脈血栓のADCは,DWI高信号部で最低値であった.摘出された血栓は組織学的に器質化反応に乏しく新鮮血栓主体と考えられた.DWIは門脈血栓を明瞭に描出しうることが示唆された.これまでの検討でDWI高信号(ADC低下)が赤血球に豊富な新鮮血栓を反映していたことと摘出された血栓の所見より,門脈血栓症においてDWIでの高信号が比較的新しい血栓成分を示していることが示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
MRIを用いたT2強調画像, T1強調画像および拡散強調画像は,深部静脈血栓の異なる成分を反映したコントラスト画像を描出できるが,磁化率強調画像やQSM定量 解析などを用いた静脈血栓の組織成分や血栓形成能との関連を明らかになっていない. これらの画像を検討するとともに,静脈血栓形成のリスクと抗凝固薬の効果予測や判定を評価できる新たなMRI画像の技術開発を進める.
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