2020 Fiscal Year Research-status Report
放射性金属を用いた包括的な腫瘍診断・治療薬剤の開発研究
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20K08102
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北村 陽二 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (10368483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 数馬 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (30347471)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射性医薬品 / 放射性金属 / ポルフィリン / 腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、金属との結合が非常に速い八臭素化ポルフィリン誘導体に着目し、新規「放射性金属-八臭素化ポルフィリン錯体」を開発し、腫瘍診断・治療薬剤への応用の可能性を明らかにすることを目的として検討を行った。八臭素化ポルフィリン誘導体として、負電荷を持つOctabromotetrakis (4-carboxyphenyl)porphine(OBTCPP)を選択し、放射性金属である111Inで標識した111In-OBTCPPに関しての、脂溶性やリン酸緩衝液中安定性などの基礎的性質、マウス体内分布の検討を行った。111In-OBTCPPの脂溶性を評価するため、オクタノール-リン酸緩衝液分配比(logP値)を調べた所、logP値は0.38となり、脂溶性は高くないことが示された。また、リン酸緩衝液中での安定性を検討した結果、111In-OBTCPPはリン酸緩衝液中で24時間後も98%が未変化体として存在しており、リン酸緩衝液中での安定性が示された。111In-OBTCPPのマウス体内での安定性を検討するため、111In-OBTCPPと111InCl3のマウス体内分布を比較検討した。その結果、111InCl3は、投与後、骨への放射能集積が多く認められたが、111In-OBTCPPは、骨への放射能集積はほとんど認められなかった。この結果は、111In-OBTCPPは、マウス体内へ投与後も、脱金属を起こさず、標識体のまま体内に存在していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
八臭素化ポルフィリン誘導体として、Octabromotetrakis (4-carboxyphenyl)porphine(OBTCPP)を選択し、放射性金属である111Inで標識した111In-OBTCPPの、基礎的性質、体内分布に関して111InCl3との比較検討まで進めることができたため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、111In-OBTCPPに関して、多様な種類の腫瘍を用いて腫瘍集積性を確認するとともに、その集積メカニズムの検討を行う。 また、111In以外の放射性金属による標識法の検討、および、より体内動態の優れた化合物の開発を目指す。さらに、SPECT撮像を行い、腫瘍イメージング剤としての可能性を評価する。
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Causes of Carryover |
令和2年度の大部分の期間において、コロナ禍により、国内外の移動が制限されたため、学会への参加が困難となり、学会参加費が発生しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は、コロナ禍が継続していたとしても、web形式での学会開催が期待されるため、積極的に国内外の学会に参加する。
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Research Products
(3 results)