2020 Fiscal Year Research-status Report
高解像3次元脳MRIを用いた脳小血管病の血管周囲腔定量評価法の開発
Project/Area Number |
20K08104
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
前田 正幸 三重大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70219278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 良平 立命館大学, 理工学部, 教授 (20402688)
伊井 裕一郎 三重大学, 医学系研究科, 講師 (40362347)
海野 真記 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (30649059)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳小血管病 / 血管周囲腔 / 3次元脳MRI / 計測ソフトウェア / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳小血管病の患者において、拡大した脳血管周囲腔と認知機能低下は相関するという注目すべき研究成果が報告されている。しかしながら、ここまでの研究報告では拡大血管周囲腔の評価法として2次元脳MRIを使った大脳の1断面での定性評価であり、拡大血管周囲腔を定量的で客観的に評価した報告はいまだない。本研究の目的は高解像3次元脳MRIと独自に開発した定量解析ソフトウェアを使い、大脳の拡大血管周囲腔を3次元的に抽出し、その容積を測定し定量的に評価する方法を開発することである。 今年度の研究計画では、高解像3次元脳MRIについて拡大血管周囲腔内の脳脊髄液と周囲の脳のコントラストが最も強い撮影パラメータを検討した。また、拡大血管周囲腔の容積を計測するための定量解析ソフトウェアの開発を行い、そのプロトタイプを完成させた。また、それを使って臨床例において予備的検討を行った。拡大血管周囲腔が小さな径である症例では、ソフトウェアは拡大血管周囲腔を抽出可能で定量的評価が可能であった。しかしながら、拡大血管周囲腔の比較的大きな径の症例ではその抽出が不能になり、容積を計測することはできなかった。また、大脳の白質病変が強い症例では拡大血管周囲腔のコントラストが不良になり、拡大血管周囲腔を抽出できないという問題点があった。したがって、来年度の課題としてこのような臨床例での高解像度3次元脳MRIのパラメータ調整とソフトウェアの修正が挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
拡大血管周囲腔の容積計測ソフトウェア開発が今年度の研究計画の中で重要なポイントであったが、ソフトウェアが実際の臨床例によっては拡大血管周囲腔を抽出しないという問題点が出ている。この問題点を解決できるようなソフトウェアの修正が必要であり、これが研究全体の律速となっている。 さらに昨年の新型コロナウイルス蔓延により移動制限と接触制限も出たため、ソフトウェア修正について他大学分担研究者との十分な討論が足りなかったと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
拡大血管周囲腔の容積計測ソフトウェアを臨床例で試しながら、最適になるように修正することが今後の研究のキーとなる。分担研究者との連携を密にするため、今後はリモート討論を検討している。 また、脳小血管病患者へのこのソフトウェアの応用のために、脳神経内科との連携を密にして患者のMRI検査依頼を強化する。
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Causes of Carryover |
当該年度では新型コロナウイルスの影響で予定していた海外と国内の学会のほとんどが延期や中止になったため、その旅費や参加費が使えずに次年度使用額が生じた。次年度では海外と国内の学会の多くがハイブリッドやウェブという形式で開催されるため、その参加費と旅費として計画している。
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