2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K08119
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
前林 俊也 日本大学, 医学部, 准教授 (20409006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相澤 拓也 日本大学, 医学部, 助教 (20613277)
坂口 雅州 日本大学, 医学部, 准教授 (70599349)
石橋 直也 日本大学, 医学部, 准教授 (40649331)
清水 哲男 日本大学, 医学部, 准教授 (00339326)
前林 亜紀 日本大学, 医学部, 助教 (90451369)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膀胱内薬剤注入療法 / 夜尿症 / 網内系 |
Outline of Annual Research Achievements |
膀胱からの尿吸収を否定されていた生理学的見地を覆した夜尿症研究から発見された膀胱尿消失現象、すなわち、膀胱から水分が吸収されるという報告に注目して研究を開始しました。 我々は、筋層浸潤性膀胱癌の治療として、膀胱尿消失現象を利用することで、新規薬剤を用いた膀胱内薬剤注入療法の開発をすすめました。その理由として、新規薬剤は、血管内投与することは血栓形成などの可能性が危惧されるため、様々な投与方法を模索しなければなりませんでした。その結果、我々が偶然発見したことは、通常の臨床で膀胱内に造影剤を投与したのち、ある程度の時間を経過すると、膀胱内の造影剤の容量の変化を経験することがあり、その造影剤がどこに吸収されているかをCT画像などを用いて検索したところ、脾臓のCT値が上昇していることが発見されました。この現象の推測として「分子量の比較的大きい造影剤は膀胱内から吸収されること」と「膀胱内から吸収された造影剤の多くは脾臓に溜まっている可能性が高いこと」である。すなわち、膀胱内の薬剤は脈管からではなく、多くは網内系から吸収されている可能性が高い可能性が示唆されました。そのため、薬剤がどのような経路で網内系に吸収されるのか研究することで、筋層浸潤性膀胱癌だけでなく、現在の薬剤投与によるがん治療は、内服または静脈内投与が主体であるため他癌腫においても新たな薬剤投与法の一つとなることが期待されるため企画しました。 本研究では、薬剤などの網内系への取り込み現象を証明するために研究をすすめております。現在までに行っていることは、実臨床において膀胱内から網内系への造影剤などが吸収されているか、種々の異なる造影剤などで症例を増加し検討をすすめております。また、以前からおこなっている、膀胱内投与を目的とした新規薬剤の開発も同時にすすめております。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、生理学的に否定されていた睡眠中の膀胱からの尿吸収の新たな発見から、さらに広がり見出した薬剤の網内系への取り込み現象を発展させ、膀胱壁からの薬剤の吸収を利用することで、これからの新規薬剤の投与法および治療法の研究基盤を確立することです。 そのため、実臨床で膀胱から吸収されることが想定されるイオン系および非イオン系造影剤だけでなく、経口から摂取し膀胱内で溜まった水分の膀胱からの吸収も検討をすすめてております。これらのデータを集積し、解析をすすめております。 我々は間接的な証明ではなく、動物などを用いた直接的な証明を行う予定でしたが、新型コロナウイルスが蔓延した中で実験室への入室制限があり遅延が生じております。また、新規薬剤の合成についても同様の理由で遅延しております。
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Strategy for Future Research Activity |
膀胱から吸収された薬剤の脾臓への取り込みパターンを検討するために、実臨床での造影剤の脾臓への経時的な吸収パターンの測定およびデータの集積や解析を行っていきます。また、経口から摂取し膀胱内で溜まった水分が、膀胱から吸収されるかデータ集積や解析を行っていきます。 これらのデータの解析が終了したのちに、動物での膀胱から吸収された造影剤の脾臓への吸収の直接的な証明を行っていく予定です。また、それに並行して新規薬剤の開発を進めていく予定です。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延により研究棟への出入りが困難であったため、新規薬剤であるピロール・イミダゾール(PI)ポリアミドに既存の抗がん剤を結合させ化合物を作成することに遅延が生じてしまいました。また、動物での膀胱から吸収された薬剤が網内系に取り込まれていることの直接的な証明の実験計画も遅延が生じてしまいました。 今後の使用計画として、今年度遅延が生じてしまった新規薬剤の設計・開発を行い、これに並行して動物での直接的な証明の実験計画および実験を予定しております。
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