2021 Fiscal Year Research-status Report
肺高血圧症の閉塞性病変における平滑筋細胞形質変換のプロテオームによる網羅的解析
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20K08155
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 太一 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (20422777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 義朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30435862)
山本 英範 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80801662)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 平滑筋細胞 / 形質変換 / レーザーマイクロダイセクション / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ラット肺高血圧モデルにおいて、肺高血圧症の閉塞性病変における平滑筋細胞の形質変換に関与する蛋白を、レーザーマイクロダイセクション(LMD)法により閉塞性病変の組織を選択的に取得して、プロテオーム解析による網羅的探索を行うことで同定し、機能を検証することを目的としている。閉塞性病変を起こすラットSugen-低酸素モデルはVEGF受容体遮断薬のSugen5416をラットに皮下注後、0.5気圧下で3週間飼育したのちに通常気圧下で飼育することで徐々に閉塞性病変が進行する。研究代表者らの既報に従い、当初は低酸素3週間の後、通常気圧下5週時点での閉塞性病変と非閉塞病変の組織をLMD法にて得て比較する予定としていたが、閉塞性病変の比率が既報よりも少なく、時系列で病変の再検討を行った。7週齢の雄SDラットに対し、Sugen5416皮下注後3週間の低酸素と5週間(8週モデル)または10週間(13週モデル)の通常気圧下で飼育したラットを作成し、血行動態及び組織評価をした結果より、当初の8週モデルの同一個体内での閉塞病変と非閉塞病変の比較よりも、8週モデルと13週モデル間で病変を比較する方が解析に適切であると考えられた。昨年度各群6匹ずつのモデルラットを作成、血行動態評価、病理評価を行ったうえで、今年度はLMD法にて病変部位の組織の取得を行った。しかしながら、実際に得られた蛋白量は13週モデルでは十分量を取得できたが、8週モデルにおいては想定以上に少ない量しか取得できなかった。このため、組織処理の方法、蛋白抽出の方法について見直しを行った。いくつかの手法を検討し、最終的に実質臓器である肝臓を用いて、十分な蛋白量が得られたプロトコールを採用することとした。現在、改めて新しい手法で8週および13週モデルの肺各群6検体からLMD法での組織取得を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、当初既報を元に8週モデルの同一個体内での閉塞病変と非閉塞病変の比較を行う予定であった。しかしながら、想定よりも8週モデルでの閉塞性病変が目立たなかった。そのため、モデル間の比較を最適化するための時系列を変えた病理評価が必要となり、検討の結果、8週モデルと13週モデル間で閉塞病変と非閉塞病変を比較する形がその後のレーザーマイクロダイセクションおよびプロテオーム解析に適していると判断した。また、当初予定していた組織処理および蛋白抽出のプロトコールでは8週モデルの組織からの取得蛋白量が十分ではなかったため、改めて多くの組織取得が望めるプロトコールを検討することに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
時系列評価によって適切な比較対象が確定し、また改変した組織処理、蛋白抽出法で十分な蛋白量が得られることが見込まれることから、現在はレーザーマイクロダイセクション法にて改めて新しいプロトコールで血管病変の取得を行っている。なお、肺血管の閉塞病変は50-200μm径のものが中心であり、プロテオーム解析に必要な蛋白量の検討のため、実質臓器(ラット肝臓)を用いて、同様のサイズのものについて何か所のダイセクションにより必要蛋白量を得られるかを検討し、その結果を踏まえて肺血管のレーザーマイクロダイセクションを行っている。8週モデルと13週モデルで各群6匹に対して組織の取得を行っており、間もなく全組織取得が終了し、プロテオーム解析に進む予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が分担研究者の担当する実験に至るのが遅れたため、プロテオーム解析もプロトコールの確認用の予備実験にとどまり、次年度使用額が生じている。今年度は組織検体を得られることから、プロテオーム解析に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Echocardiography Monitoring of Pulmonary Hypertension after Pediatric Hematopoietic Stem Cell Transplantation2021
Author(s)
Kawashima N, Fukazawa Y, Nishikawa E, Ohta-Ogo K, Ishibashi-Ueda H, Hamada M, Ichikawa D, Narita A, Okuno Y, Muramatsu H, Nishio N, Kojima S, Kato T, Takahashi Y.
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Journal Title
Transplant Cell Ther.
Volume: 27
Pages: 786.e1-786.e8
DOI
Peer Reviewed
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