2020 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内発育遅延モデルマウスにおける糖代謝機構の網羅的解析
Project/Area Number |
20K08156
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山内 建 京都大学, 医学研究科, 医員 (50836012)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 子宮内発育遅延 / 高インスリン血症 / オートファジー / β細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究者らはSmall for Gestational Age(SGA)個体における一過性高インスリン血症(THI)の発症が、胎生期の慢性的な低栄養・低酸素暴露により生じた膵β細胞のオートファジー抑制が関与しているとの仮説立て検証を進めていた。本研究計画は子宮内低酸素マウスモデルを作成し、胎生期から出生後まで縦断的にβ細胞量・β細胞機能・オートファジー活性・メタボローム解析を行い、SGAに伴うTHI発症機序を改名することを目的とした。 当初の予定では速やかにモデルマウスを作成し、実験を行う予定であったが、新型コロナウイルス流行のため、所属期間の動物実験施設での実験を予定通り開始することが困難であった。そのため代案としてヒト超早産児の診療に用いた血液の余剰検体を用いて、ヒトに超早産児おけるインスリン、プロインスリン 、グルカゴン、およびGLP-1、GIP動態の検討を行った。 解析の結果、以下の知見が得られた。①先行研究で言われていた早産児でのプロインスリン→インスリンへの変換障害は、一律に同程度みられるものではなく、個体差が大きいこと、②その障害の程度が個体の血糖変動に影響を与えている可能性があること、③不安定な血糖推移を示す患者ではグルカゴンが高値であり、グルカゴン調節障害が存在している可能性が示唆された。 以上の結果から、早産児・SGA児における高インスリン血症の発症には当初の仮説に加えプロインスリン /インスリン比およびグルカゴン分泌のアンバランスも関与している可能性が考えられた。そのため、2021年度より我々が従来設定した仮説に加え、ヒト検体で得られた知見を組み込んで、THI発症機序を検証する動物実験を開始する予定でいたが、研究者の転職に伴い本研究は中止となった。
|
Research Products
(2 results)