2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a zebrafish model of ribosomopathy for disease pathogenesis and drug discovery
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20K08160
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
剣持 直哉 宮崎大学, 医学部, 研究員 (00133124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上地 珠代 宮崎大学, 医学部, 准教授 (10381104)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リボソーム / 先天性貧血 / がん / ゼブラフィッシュ / 疾患モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
1)リボソーム病の代表であるダイヤモンドブラックファン貧血(DBA)患者の解析を進めた。研究協力者(弘前大学)が患者のエキソーム解析で同定したリボソームタンパク質(RP)遺伝子の変異が、真の疾患原因であることを検証するために、ゼブラフィッシュ胚を用いたレスキュー実験を行った。同定された変異が1アミノ酸置換のミスセンス変異であったため、初めに当該遺伝子をモルフォリノアンチセンスオリゴ(MO)でノックダウンした後に、正常または変異mRNAを胚に注入して表現型の回復を調べた。その結果、一部の遺伝子変異で回復が見られたものの新規の病因と確定するためには更なる検討が必要と考えられた。 2)rps19のノックダウン胚(DBAモデル)を用いたRNA-seq解析では、造血に関与する複数の遺伝子のmRNAの翻訳効率が低下していた。そこで本研究ではrps19変異体(貧血を示す)を用いて、赤血球で発現する転写因子gata1のmRNAによるレスキュー実験を行った。rps19変異体の赤血球数が回復したことから、特定の遺伝子の翻訳調節がDBAの発症に関与する可能性が示された。 3)がん抑制遺伝子であるTP53遺伝子のリボソーム病への関与を検討するために、ゼブラフィッシュのtp53とリボソータンパク質遺伝子rps19の二重変異体を作製した。二重変異体ではrps19変異体より赤血球数が増加したことから、DBAの発症経路にTP53が関与すると考えられた。現在、発がんとの関連を組織化学的な手法で解析中。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)DBA患者で同定された複数の疾患候補遺伝子の解析をゼブラフィッシュで進めている。これにより、新たな疾患原因の同定が見込まれる。 2)rps19変異体を用いた解析により、造血に関与する転写因子の翻訳調節がDBAの発症に重要な役割を果たしている可能性が示された。 3)RP遺伝子の変異がゼブラフィッシュにおいてがん化を促進していることを確認した。 以上のことから、ゼブラフィッシュを用いたリボソーム病の研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
1)引き続き新規変異遺伝子の解析を進める。MOによるノックダウンとCRISPR/Cas9システムを用いた変異体の作製およびmRNAによるレスキュー実験により原因遺伝子としての同定を目指す。 2)rps19の変異によりmRNAの翻訳効率が低下した遺伝子に着目して疾患の発症機構を解析する。 3)RP遺伝子の変異とがん化との関連を解析するために、発生したがんの組織化学的な解析、がん化の条件(飼育環境、遺伝的背景)などを調べる。
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Causes of Carryover |
新型コロナ対策による県外移動の禁止や自宅待機などにより旅費や物品費などの使用が当初の予定通りには進まなかった。 使用計画:物品費として、研究を進めるための一般的な試薬・器具類の消耗品の他、ゼブラフィッシュの飼育に必要な物品、疾患モデルを作製するための合成オ リゴなどの経費に使用する。旅費として、学会へ参加するための費用を計上する。謝金として、研究を効率的に進めるための実験補助およびゼブラフィッシュの 飼育・管理を行う要員の雇用に使用する。
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