2022 Fiscal Year Research-status Report
小児期発症重症心筋症の変異データベース構築と疾患モデル動物を用いた分子機構の解明
Project/Area Number |
20K08177
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
犬塚 亮 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00597560)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 彦郎 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40796819)
中釜 悠 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特任講師 (60846880)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 小児期発症重症心筋症 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
①高密度オリゴヌクレオチドアレイと次世代シーケンサーを用いた小児期発症心筋症のゲノム異常の網羅的探索および変異データベースの構築:11家系12症例(DCM 5例、HCM 3例、RCM 1例、LVNC 2例)において検査を施行し、7例(58%、うち2例は新規変異)で責任遺伝子(サルコメア関連(MYH7、MYL2、MYBPC3、TNNT2、TTN)、カルシウム代謝(PLN)、RAS/MAPK経路(PTPN11))を同定した。このほかにLVNC症例でVariant of unknown significance(VUS)だが病原性の疑われるTBX20変異を認めた。 ②LZTR1機能解析: LZTR1の分子間相互作用の解析のため、培養細胞でのタグ付きLZTR1過剰発現系を用いてプルダウンアッセイを行った。二次元電気泳動の結果から、空ベクターと過剰発現ベクターとで、異なるスポットが何点か認められ、質量分析法による蛋白同定を試みたが、LZTR1の機能発現への関与が疑われる蛋白は同定されなかった。 次に、ハイスループット解析のためのツールとして、LZTR1異常を含むRASopathy心筋症について2系統の新規細胞モデルを構築すべく、予備的検討と条件確定を行った。 具体的には、標的遺伝子の破壊のためのgRNA配列を、オフターゲットリスクの少ない上位3パターンから選び、複数のターゲッティングベクターを構築した。エレクトロポレーションの条件を最適化し、破壊効率の最も高いターゲッティングベクターを用いた本実験へと進んだ。限界希釈によるシングルセル化後、培養、コロニー化を行い、現在、目的変異導入コロニーを選別している段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症などの影響で、診療体制の大幅な変更があったため、小児心臓移植の患者数減少により、新規重症患者の受け入れが難しく、遺伝子データベース構築のための患者のリクルートが遅延していた。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、患者数が回復傾向であるため、データベース構築を進めているところである。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染症に伴う診療体制の変更により、患者データベース構築のための、患者リクルートが滞っていたため、患者のエクソーム解析に用いる費用が次年度へ持ち越しとなった。現在は患者のリクルートは回復してきており、今年度中に予定通り使用予定である。
|