2023 Fiscal Year Annual Research Report
小児期発症重症心筋症の変異データベース構築と疾患モデル動物を用いた分子機構の解明
Project/Area Number |
20K08177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
犬塚 亮 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00597560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 彦郎 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40796819)
中釜 悠 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特任講師 (60846880)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心筋症 / 網羅的遺伝子解析 / 疾患モデリング / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
①小児期発症心筋症のゲノム異常の網羅的探索および変異データベースの構築: 当院でフォローアップを行っている心筋症症例、Total22症例(21家系、DCM9例、HCM3例、RCM 5例、LVNC 5例))において、全エクソーム解析を行った。10例(45%)で病原性のある変異を同定、5例(23%)でVUS、7例では既知の心筋症関連遺伝子に変異を認めなかった。右室低形成を伴ったRCM症例では、MYH7のConverter/Lever領域の変異を認めた。MYH7の変異は様々なタイプの心筋症を発症するが、Converter/Lever領域の変異は小児期発症のRCMに多く認められている変異であり、今後変異と表現型の解析が有用である可能性が示唆された。 ②心筋症疾患モデリング 疾患関連変異の機能解析を効率化するために、iPS細胞を用いた疾患モデリング・解析を得意とする学内外研究者との連携構築を進めた。小児期から成人早期に発症し心筋症表現型の促進を認めた、2種の疾患関連変異(RAF1, PTPN11)について、共同研究者らとともに疾患iPS細胞を試みた。健常iPSへの標的遺伝子破壊、疾患関連変異導入のためのgRNA、ssODN配列の決定後、エレクトロポレーションの条件最適化、限界希釈によるシングルセル化により、1系統において目的変異導入クローンの選別に成功した。現在、心筋特異的な細胞周期制御因子を同定するために、変異RAF1、変異SHP2タンパク質のパートナータンパク質及び下流リン酸化シグナルの歪みについて、生化学的に探索を進めている。また上記分子背景の一般化可能性を多系統並列的に検証するために、isogenic controlを用いる手法と並行して、患者よりダイレクトに疾患iPS細胞を樹立し健常対照株と比較するアプローチについても、共同研究者らとの連携により準備を進めた。
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